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2025年1月21日
あけました。おめでとうございます。
諸事情ですっかり間が空いてしまいましたが、
大河のまとめを最後まで書くのをあきらめてはおりません!
どうぞもうしばらくお付き合いください。
第46回
20年前の国際ロマンス詐欺未遂があるので、まひろちゃんが声をかけると逃げようとする周明さん。
もう20年前のことだからと許すまひろちゃんに周明さんはこの20年を語ります。
周明さんは越前を去った後、ヂュさまがまひろちゃんに伝えた言葉通り
本当に故郷の対馬をを見に行っていました。
手柄なく宋に帰るヂュさまと別れて、対馬にも知り合いはもう残っていなくて、
大宰府で通事をしながらひとりで過ごしてきました。
最近は宋から来た腕のいい眼医者である薬師の恵清(フゥェイチン)さんの弟子として、
薬師としての活動も再開していました。
周明さんの案内でまひろちゃんは亡き夫宣孝さんがかつて勤めていた大宰府の政庁を見に行きます。
恵清さんに宋語であいさつするまひろちゃん。
拱手礼の所作(女性は右手で左拳を包む。男性は逆)もばっちり。
まひろちゃんが20年前に教えたことを覚えていて嬉しい周明さん。
恵清さんは隆家さんの目も治していました。
続けて双寿丸さんが鍛錬を積んでいる場も見に行きます。
賢子ちゃんが宮仕えを始めたと教えると、大人になったとしみじみする双寿丸さん。
そこへ隆家さんがやってきます。
道長さまは知らないうちに隆家さんにまひろちゃんをもてなすように伝えていました。
さすが手回しが良いとXの英知。
隆家さんがまひろちゃんの顔を知らなかったのは意外ですが、そういえば対面する場面がなかったです!
「俺たちを追いやった『源氏の物語』を書いた女房をもてなせとは、酷なお達しだ」とは言うものの、
爽やかに「長旅で疲れたであろう。参れ」といえるのは伊周お兄ちゃんとの違いです。
腹に抱えるわけでもなく、言葉にする事で相手のまひろちゃんも気持ちが軽くなるとXの英知。
昔まひろちゃんと結婚した宣孝さんがまひろちゃんに言った「不実な者同士であいこである」に並ぶ言葉です。
でも、源氏物語が中関白家を追いやったわけではなく、隆家さんの矢のせいだとXの英知(笑)
そして、Xの英知の中には隆家さんが道長さま宛に書くかもしれない文の内容を心配する声も。
「心配していた藤式部は昔馴染みらしい、
程よく枯れたインテリの医者(独身)がずっとついて
楽しく過ごしておりますので安心してくださいYO」
なんて報告した日には、花山院を射た矢以上に大騒ぎになって危険とのことです(笑)
でも、「太宰府にいたいだけおれ」
「いくら夫がいた場所が見たいからと言って女子がこんな所までやってくるなんて何か訳があるのだろう」
と察する力までレベルアップした隆家さんなら心配いらないでしょうか。
大宰府で輝く隆家さんです。
地元の有力者たちにも武士たちにも慕われます。
お金にも綺麗と大人気です。
「富なぞいらぬ。仲間がおれば」
京の「さがなもの(乱暴者)」は、
大宰府ではよい政治を行う「やまとこころもつもの(カッコいい者)」になっていました。
隆家さんから道長さまが病気で出家したと聞かされるまひろちゃん。
衝撃を受けます。
まひろちゃん歓迎の宴でむくつけき(=粗野で荒々しい)男たちが舞いながら歌ったのは
日本書紀からの引用で、蘇我馬子が推古天皇に贈った寿ぎの歌だそうです。
やすみしし 我が大君の 隠ります 天の八十蔭 出で立たす 御空を見れば
万代に かくしもがも 千代にも かくしもがも 畏みて
仕へまつらむ 拝がみて 仕へまつらむ 歌づきまつる
(現代語訳はパスさせてください…)
きぬさんへお土産に紅を買う乙丸さん。
いつかの夫婦喧嘩のお詫びでしょうか。
それにしてもこれから刀伊の入寇が始まるというのに、
残してきた妻へのお土産を用意するなんて死亡フラグが立って不吉だとXの英知。
まひろちゃんは亡き友さわさんの歌にあった松浦(まつら)を目指して大宰府から旅立ちます。
松浦は現在の佐賀県唐津市の「松浦潟」のことです。
松浦には船越の津から船に乗るのが便利だが道中には危ない場所もあるからと、
周明さんが船越の津まで案内することになります。
奇しくもその場所は刀伊が次に上陸を狙って近づきそうだと
隆家さんが後に報告を受ける場所です…
大河と言えば戦!ついに『光る君へ』でも始まります!
どうすれば物語が盛り上がってカッコいいのか知りつくしたNHKによる
貫録と迫力を感じる展開と映像が続きます。
対馬、壱岐、能古島の順で少しずつ九州本土に近づく刀伊。
能古島まで侵入を許している時点で、福岡にとっては喉元まで迫られているとXの英知。
壱岐国から命からがら逃げてきた弱いお坊さんみたいに見える常覚さんでしたが、
実際は国司の藤原理忠の軍勢が20倍の敵を相手に討死した後も島分寺に立て籠もって
3000人の刀伊を三度に渡って撃退したバリバリの武闘派だとXの英知。
藤原理忠はドラマでは登場しませんでしたが、その墓は激戦地の跡にあり、
地元では「理忠(りちゅう)さんの墓」と呼ばれ親しまれているらしいです。
時間が勝負と見た隆家さんは朝廷の許可を待たずに、刀伊に立ち向かうことを決断します
(これが大きな勝因になることも、後で問題になることもまるで源義経です)。
もちろん朝廷に文は送るものの、握りつぶされて無視されることを恐れて、
普段から親しい(史実ですがいつの間にそんな仲になったのでしょう?)実資さんにも文を送ります。
博多警固所にいた兵は万葉集の防人の歌でお馴染みの防人ですよね!
平安時代は甲冑が、挂甲や短甲(はに丸)から大鎧や胴丸(平家物語)に移行する時期なので、
色々な甲冑を登場させているとXの英知。
どこまでもカッコいい隆家さんです。
史実とどこまでかみ合っているか(隆家さんは本当にこんなにカッコいいのか)の考証は
ひとまず置いておきましょう!
自ら陣頭に立って将兵を「奮え!」と鼓舞して、無駄死にしてはいけないと言い、
援軍が遅くても「良く来てくれた」と一言目に言ってくれる
理想的な指揮官ぶりにXの英知たちも感激していました。
現地の豪族たちはすでに隆家さんの虜ですから有事の際にはさっと動いてくれます。
「対馬より先に進んではならぬ」
「そこまで行けばこちらから異国に戦を仕掛けることとなる」と、
追撃のラインを隆家が設定したのは史実に記録があるそうで、この点も後世に評価されているようです。
鋭い国際感覚!
自ら馬で駆け付けた崖の上から鏑矢を放つ隆家さん。
隆家さんが放つ一矢は、若い日は家を滅ぼすも、大宰府では国を救うのです。
かっこよすぎる胸熱展開!
刀伊が聞きなれない鏑矢の音に驚いたのは記録があるそうです。
鏑矢は音響兵器となりました。
ところで刀伊の入寇ってみなさん知ってましたか?
日本史に疎い管理人は当然知らなかったですし、一般にもほとんど知られていないらしいです。
しかし有史以来日本が異国と戦になった3回の事例の1つなので、本当はとても大きな事件なのです。
もちろん他の2回は元寇と太平洋戦争です。
なのに当時の朝廷でさほど評価されなかったことも、その後の大きな出世もなかったことも、
未来でもほとんど顧みられないことも、『その時歴史が動いた』のテーマソングが似合う隆家さんです。
赤染衛門さんの書く『栄花物語』の初めの方が書き上がり、早速倫子さまが原稿をチェックします。
ところが…主人公の道長さまが全然出てきません。
なんと物語は、道長さまが生まれる100年も前の宇多天皇の時代から始まっていたのです!
倫子さまは源氏物語みたいな感じを望んだかもしれませんが、
Xの英知によると、『ガラスの仮面』か『王家の紋章』の序章が上がってきたのです…
物語が宇多天皇から始まる理由を、
この大河では宇多天皇の曾孫である倫子さまが、栄花物語の執筆依頼者だからということにしたのが巧いとXの英知。
衛門先生は「藤原を描くのなら大化の改新から」本当は書きたいが、
自分が生きているうちに書き切れないからとまで言い出します。
Xの英知は大化の改新から始めるなら、権勢を欲しいままにする蘇我氏の横暴を苦々しく思っていた中臣鎌足が、
同じく蘇我氏から冷遇されていた中大兄王子と初めて接近できた、
蹴鞠中に脱げた中大兄皇子の靴を拾ってささげる場面になりそうだと言います
(大河のすごく前の回で、道長さまがまひろちゃんの履物を拾って履かせた時に
Xの英知たちの間で話題になった故事でもあります)。
漫画『風雲児たち』の作者・みなもと太郎さんが
「幕末を語るなら関ヶ原の戦いから」と言ったのに似ているそうです。
主君の倫子さまも衛門先生の歴史オタクぶりに引いています(笑)
驚きつつ、衛門先生のあまりの熱量に説得をあきらめてしまった倫子さまの
「もう衛門の好きにしてよいわ」の表情が最高でした。
衛門先生の何かに火がついてしまったとXの英知。
ただでさえ、衛門先生にとっては推しである倫子さま直々に受けた依頼なのです。
藤式部に断られたとはおくびにもださない倫子さまですが、
赤染衛門さんは薄々気づいていただろうとXの英知。
だからこそ「私がなすべきこと」を考えに考えて出した答えは、
枕草子や源氏物語の二番煎じにしない独自性を出すことでした。
偉大なる藤原氏の歴史書を一般的な史書のような漢文ではなくあえて仮名文字で綴り、
文学性も追求した日本史上初めての新ジャンルを開拓したのです。
書家の根本さんは終盤で赤染衛門の書が出てくるとは思わず、ここまでで書風を出し尽くしてたらしいです。
その状態から新たに赤染衛門を演じる凰稀かなめさんをイメージして書風を作り上げた凄さです。
凰稀かなめさん、そして赤染衛門のイメージぴったりの流麗な書風でした!
雨宿り中に、まひろちゃんの過去の恋愛に探りを入れつつ、終わった恋愛への想いを吐き出させ、
俺みたいな本当の独りぼっちになってしまうぞと
自分がフリーであることをさりげなくアピールする周明さんは
策士すぎて倒れそうとXの英知。
周明はまひろちゃんと道長さまの仲に気づいています。
病で出家したと聞いたまひろちゃんの顔色が変わるのを見逃していませんでした。
周明さんがまひろちゃんに問いかける
「なぜ妻になれなかったんだ?弄ばれただけか?」
「捨てたか、捨てられたかも、分からないのか」は、
まひろちゃんと道長さまの関係を上手に表しているとXの英知。
「偉くなって世を変えてとあの人に言ったのは私なのに
本当に偉くなってしまったらむなしくなってしまったの」
というまひろちゃんの言葉を、道長さまの出世が極まって燃え尽き症候群に陥ってしまったと読み取るXの英知。
でもこれって本当に本音なのか、まひろちゃんが自分でそう思っていたとしても、
蓋をした本心がどこかにありそうな言葉です。
「私はもう終わってしまったの。終わってしまったのにそれが認められないの」
とまひろちゃんが言えば
「まだ命はあるんだ。これから違う生き方だってできる」
と言い、
「書くことがすべてだったの」
と言えば
「書くことはどこででもできる。都でなくても」
と、ああ言えばこう言うめんどくさいまひろちゃんに、
とことん付き合ってくれる周明さんが優し過ぎるとXの英知。
20年の年月が流れても周明さんは今でもまひろちゃんを想っているのです。
まひろちゃんは道長さまの妻になれない代わりにお抱え作家として、
他の女性たちの誰とも違う道長さまの特別な存在であろうとしたのでしょう。
だからこそ、道長さまとつながるための物語が完結してしまえばすべてを失うのです。
道長さまにとってはまひろちゃんが源氏の物語を書かなかったとしても永遠の存在なのに、
道長さまにとっての利用価値がなければそばにいられないとまひろちゃんは思い詰めているのですね。
そうならば新作を書けばいいのではないかというところですが、
あれだけのものを出した後で新作を書けるでしょうか。
まひろちゃんも何かを書く気力も沸かないと言います。
作家が「書けない」と言い出したときに「おれのことを書くのはどうだ」
と言う人は割りといるらしいと編集者のXの英知。
周明さんの身の上話ではうまく物語を紡げないとはさすがに言えないものの、
返事を濁すまひろちゃん(笑)
周明の人生は波乱万丈ではありますが…
「だったらおまえがこれまでやってきたことを書き残すのはどうだ」
周明の言葉が『紫式部集』を生む展開かとXの英知。
紫式部集は自作の歌に乗せた自伝として読めます。
夜が明けて海辺を行くまひろちゃんと周明さん、乙丸さん。
周明さんがまひろちゃんに
「松浦に行って思いを果たしたら必ず大宰府に戻ってきてくれ。
その時に話したいことがある」
と告げます。
これは…!来るのか!?
今度こそ詐欺ではないロマンス!
戻ってきたまひろちゃんに伝える「都へは帰るな大宰府で共に生きよう」!!!
けれどもこれは特大級の死亡フラグでもありました。
まひろちゃん一行がついに刀伊の軍勢と出くわしてしまいます。
周明ーーー!!!
Xの英知たちも大騒ぎでした!
「いかに完全無欠の国際ロマンス詐欺フラグ構築で勇名を馳せた周明とはいえ、
誰も死亡フラグ立てて1分で回収しろとは言うてませんやん…」
(管理人が時間を計ったらフラグ発言から1分半弱の悲劇でした)
「国際ロマンス詐欺の異名を欲しいままとした後に一級フラグ建築士となって去るなんて…
周明…!異名がつよつよすぎる…!戻ってこい!」
「周明さぁ、まひろを騙して別れて、居場所がなくて孤独で、
それでもなんとかこの地に師匠を見つけて、また医学を学び直して、
新しい人生を20年かけて作り上げたのにさぁ…
またまひろという運命の女が来たことで、あの海岸に導かれ、すべてが終わるとかさぁ…
なんなの…」
あまりのことに、胸に矢が刺さって倒れた周明が死なないで済む展開を次週までに考える
#周明の生存ルートを考える会
が発足!
心臓が右にあるとか、
懐にまひろちゃんにあげるつもりの紅の器が入っていて、赤いのは紅だ!とか、
思ったより傷が浅かったとか、
あれは恋の矢で視聴者にしか見えてないとか、
全部夢だったとか、
浜からモンゴルに渡ってチンギスハンになったとか、
死体の割には血色がいいから大丈夫とか、
野晒しにされてるんじゃなくて眠っているだけとか、
首と胴がくっついてれば大丈夫とか、
首桶に入っても本人のものと確認がとれないうちはセーフとか
みんな考える考える!
話しは変わりますが、第1話からずっと登場している乙丸さん。
乙丸役の矢部太郎さんがゲストで出演した番組で、
視聴者から今(第46回)何歳なのか質問が来たそうです。
「台本には、その時々の年齢が書いてある」そうで、
大宰府への旅行をしている現在は「60ぐらい」だそうです。
ちなみにまひろちゃんは50くらいだそうです。
2024年12月13日
第45回
四納言が前回の道長さまの望月の歌の解釈について語り合います。
俊賢さんは後世である現代の一般的解釈です。
「栄華を極めた今を謳い上げておられるのでありましょう」
それに対して公任さん。
「今宵はまことによい夜であるな…くらいの軽い気持ちではないのか」
「道長は皆の前でおごった歌を披露するような人となりではない」
行成さんも月が后を表すと前置きしたうえで言います。
「3人の后は望月のように欠けていない良い夜だということだと思いました」
娘が生まれていっそう幸せそうな敦康親王さまでしたが…
「この年の暮れ、亡き一条天皇の第一皇子敦康親王は21歳で世を去った。
道長によって奪い尽くされた生涯であった」
とナレ死を遂げてしまいます…
彰子さまは喪に服します。
道長さまはふと自分の陰を見つめます。
昔、兄の道兼さんに言われた
「お前は、自分だけきれいなところにいると思うておるやもしれぬが、足元を見てみろ。
俺たちの影は、みな同じ方を向いている。一族の闇だ」
を思い出したのでしょうか。
まひろちゃんは宇治十帖を完結させます。
宮仕えすることにした賢子ちゃん。
まひろちゃんに、内裏か土御門殿で女房になれるよう口利きを頼みます。
おじじさまと違って就活にコネを使うことに全く抵抗がありません
(当時の感覚ではこちらの方が普通です)。
まひろちゃんは賢子ちゃんに自分の職を譲り、
自分は須磨、明石、大宰府、松浦へ旅に出ることを決めます。
史実だと敦康親王が亡くなった後くらいから
紫式部の動向がわからなくなるのを生かして、旅に出るのが面白いとXの英知。
賢子ちゃんを連れての彰子さまへの挨拶の場で、
まひろちゃんは彰子さまから懸守(かけまもり)とアメシストをもらいます。
懸守は首にかける魔よけや災厄よけの守袋で、
両端を紐で縛ってキャンディーの包みのような形にした錦の袋の中には、神仏の護符が入っていたそうです。
女性の旅姿でお馴染みのものです。
この大河のメインテーマの曲タイトル『Amethyst』にちなむのだろうかとXの英知。
物語の伏線回収のように、題字は前に「雲隠」の続きの書き始めの「光」の文字で回収されていましたが、
テーマ曲回収とは珍しい!とXの英知。
こうして賢子ちゃんは彰子さまの女房になります。
賢子ちゃんはのちに道長さまの子や公任さんの子と浮名を流し、名歌を残し、
最終的に大宰府の高官になる高階成章の正妻に収まり、
後冷泉天皇の乳母に命ぜられ、紫式部や為時を超える官位(従三位)に叙せられ、
当時の女人の幸せをフルコンプリートするとXの英知。
続いて道長さまと倫子さまへも賢子ちゃんを連れて挨拶に行くまひろちゃん。
旅に出ることを伝えると、道長さまに大宰府へは使いの船があるから乗って行けと言われます。
この時道長さまには特に変わった様子もなかったのですが…
倫子さまからの『栄花物語』の執筆依頼をまひろちゃんは
「心の闇に惹かれる性分でございますので、
『枕草子』のように太閤さまの栄華を輝かしく書くことは私には難しいと存じます」と断ります。
「私、根暗なんで〜〜〜」の100倍みやびな言い方で勉強になるとXの英知(笑)
すぐにまひろちゃんのいる局にやってくる道長さま。
源氏物語の原稿を持って賢子ちゃんが局を出るのを立ったまま待ち、
ただちに局に入ると御簾を全部自分で下ろします。
先週、倫子さまに凸られた(突撃された)恐ろしさのためとXの英知。
「何があったのだ?」
「行かないでくれ」
状況説明の副音声では「すねた目でまひろを見る道長」と言っていたそうです。
「先ほどは船に乗っていけと仰せだったではありませんか」とまひろちゃん。
道長さまは、え?…ということはあれ?ヤダー!!と時間差でじわじわダメージを受けたとXの英知。
「これ以上手に入らぬお方のそばにいる意味は何なのでございましょう」
切なさがあふれるまひろちゃん。
彰子さまを支え、源氏物語を完結させて役目を終え、
道長さまからも有形無形の報酬は受け取り切ったと語ったまひろちゃんは、
北の方の倫子さまがひとつ屋根の下にいる居心地の悪さに耐えながら、
道長さまのそばにとどまれる口実をも失ってしまったと感じたのでしょう。
「賢子はあなた様の子でございます」
ここで賢子ちゃんが道長の子である秘密を告げるのは、
賢子ちゃんの今後のためにコネを最大残そうとするまひろの親心だとXの英知。
とっくに気づいていただろうけど、まさかね?と視聴者が思っていたら、
まさかの方だった道長さま。
今知ったんですか!!!
でも、賢子ちゃんが自分の娘であることよりも、まひろちゃんのことが気になる道長さまです。
「おまえとはもう会えぬのか?」
当時のまひろちゃんくらいの年齢(50歳くらい)がはるかな旅に出るということは、
もう帰ってこない永遠の別れかもしれないのです。
思わずまひろちゃんの手を取る道長さまの手を
「会えたとしてもこれで終わりでございます」
と言いながら押し戻すまひろちゃん。
道長さまを残して局から立ち去ります。
局に残されて道長さまは呆然とします。
そしてまひろちゃんは旅に出ます。
倫子さまはまひろちゃんに断られた後の『栄花物語』の執筆を、赤染衛門さんに依頼します。
光栄だが、本当に私でいいのかと赤染衛門さんに尋ねられると、「衛門がいいのよ」。
別の作家を探す際に、すでに他の作家に断られたことはおくびにも出さない、
これは全ての依頼する編集に必要な礼儀だとXの英知。
宮仕えを始めた賢子ちゃんの様子を見に来る道長さま。
まひろちゃんは賢子ちゃんと入れ替わりに去ってしまったのでもういません。
賢子ちゃんは裳着の儀式のために道長さまが贈った生地で仕立てた唐衣を着ています。
その生地を贈ったことだけが、賢子ちゃんのために道長さまがしたことでした。
込み上げる悔しさと痛みと切なさ(副音声)です。
道長さま役の柄本佑さん、表情だけで
「あれが俺とまひろの…ああ、もっと早く知っていればもっといろいろなことをしてやれたのに…
何故言ってくれなかったんだ…いや、それとなく伝えてくれたことがあったな…
なんであの時気づかなかったんだっっオレノバカ」て言っててすごいとXの英知。
道長さまのまひろちゃんが去った後の魂抜けっぷりと、
最愛のまひろちゃんとは両思いで、二人の愛の結晶も真っ当に育ってるのに
本人だけ自分を置いて行ってしまった、どうしてこうなった?の未練も滲み出すぎていてすごいと別の英知。
賢子ちゃんを実子だと懐妊当初から知ってたルートも見たい!!とXの英知。
知っていたら、どんなことになってしまうでしょうね(笑)
賢子ちゃんの姿が見えなくなるまで見守った後、道長さまは急に胸の痛みに襲われます。
史実の道長は、胸の痛む病を患い、
目も二三尺(60〜90cm)離れた人の顔が分からないほどだったようです。
虚血性心疾患や、糖尿病による白内障もしくは網膜症を患っていたらしいと現在は考えられているようです。
まひろちゃんのいない現世に未練はないとばかりに、
そのまま出家を決めてしまう道長さま。
まひろちゃんを失ったとたんに体調を崩してしまったので、
本当に道長さまにとってはまひろちゃんが生きる理由だったのに、
あの宇治の河原でした約束を反故にしたようなまひろちゃんはひどいとXの英知。
現世にてお休みくださいと、出家を止めようとする倫子さまはついに…
「藤式部がいなくなったからですの?」
やっぱり知っていましたよね。
「何を言うておる」
道長さまは否定はしつつも身に覚えのない様子がなく「否定してるけど否定してない」とXの英知。
倫子さまも「これ以上は突っ込まないけど納得はしてない」様子が、
「1秒で5回打ち合う剣の達人同士みたいな高度な探り合い」だったと言っていました(笑)
倫子さまの手を押し戻す道長さま。
まひろちゃんが道長さまの手を同じように押し戻した時は、じっと道長さまの顔を見ていたのに、
道長さまは顔を背けて倫子さまの顔を見もしません。
そのまま立ち上がって振り向かずに、太皇太后さまにも伝えると立ち去ってしまいます。
ひとり残され辛そうな倫子さま。
まひろちゃんも道長さまを「手に入らない方」と表現しましたが、
倫子さまにとっても、道長さまはもっとずっと「手に入らない方」のままだったとXの英知。
ずっと勝ってるのに負けてるとも。
一目惚れした初恋の人のそばで何十年も生きて道長さまのためにできることは全部やってきたのに、
とうとう最後まで道長さまを心から振り向かせることができなかった…と無念の想いが見えるとも。
道長さまはどうでもいい優しさはいくらでも倫子さまにくれるけれども、
大事なものはカケラもくれないと、Xの英知たちは倫子さまの辛さを思いました(泣)
昔、倫子さまが子供たちを育て上げたら二人でゆっくり旅をしたいなどと持ち掛けたのを、
はっきりした返事はせずに微笑みで誤魔化していましたものね…
まひろちゃんは須磨に到着します。
すべてから解き放たれたように須磨の浜を駆けるまひろちゃん。
みんな、見ると突然僧形になっていたこの大河。
道長さまの出家の儀式に初めて時間が割かれています。
道長さま役の柄本佑さんはこれまで大河のために自分の髪を伸ばして髷を結っていたのですが、
この撮影で実際に剃り落としたのだそうです。
役者魂に制作陣も応えました。
道長さまも倫子さまもそれぞれの思いで泣いています。
Xの英知たちからは、この大河の道長さまの出家は
「傷心出家」「失恋して髪切った」とさんざんな言われようです(笑)
出家した道長さまのところにF4の仲間が尋ねてきます。
出家の感想を公任さんに尋ねられた道長さまの答えは
「涼しくてよい」
「あっという間に何もかも過ぎていった。あっけないものだな人の一生とは」
でした。
公任さんは「50過ぎまで誰一人欠けることなく来れた」としみじみ。
「F4の欠けたることも なしと思へば」です。
公任さんにとっては望月の歌の解釈は、お友達がみんな欠けずに一緒に居られてよかった、ですね。
事実上正妻とも言われる(!)行成さんは、出家後の道長さまの姿を見ただけで泣き出します。
出家後の道長は、「禅閤」と呼ばれたそうです。
出家して、しかも当然無位無官なのに、世俗の政治に関わり続けることになります。
これが先例となり、後の院政、さらに平清盛に繋がります。
大河でも嫡男の頼通さまを叱咤激励する日々です。
まひろちゃんはついに大宰府へ。
乙丸さんと二人で市を眺めていると見覚えのある人影が…なんとあの周明です!
2024年11月30日
第44回
残り話数少なくなってきたからか怒涛の展開です。
三条帝を引きずり下ろし奉りたい道長さまと仲間たち。
退位させたい道長さまに抵抗する三条帝は娘の内親王を、
道長さまの嫡男・頼通さまに降嫁させようとします。
帝の意向だから断れないと、道長さまが頼通さまに内親王との結婚を持ち掛けると、
案の定隆姫一筋の頼通さまは
「私は隆姫を連れて都を出ます。藤原も左大臣の嫡男であることも捨て、二人きりで生きてまいります」
といつかのパパのようなことを言い出して部屋から出て行ってしまいます。
倫子さまは驚きつつ泣きそうなほど困ってしまいましたが、
身に覚えがある道長さまはそこまでは驚かず、一人月を見上げます。
下手な回想シーンが入らないのが視聴者を信頼していて良いとXの英知。
彰子さまにもみんな不幸になるだけだと、頼通さまと内親王との結婚は反対されます。
その場にいたまひろちゃんにもどう思うか意見を聞くと、まひろちゃんも反対です。
「左大臣さまのように倫子さまも明子さまも等しくいつくしむお方はそうはおられぬと存じます」
それはそうでしょう!この大河では別に道長さまが人格者だからではなく、
どちらもどうでもいいから等しく大切にできるのです…
そして道長さまが妍子さまを訪ねると、年上すぎる三条帝に入内し内親王を1人生んだものの、
「皇子も生めなかった私の唯一の慰めはぜいたくと酒なのでございます」
と、買い物依存性とアルコール依存性になってしまっています。
不幸になっている結婚です。
道長さまは頼通さまに、内親王との結婚を断るために、
伊周の怨霊で命の瀬戸際の病になったふりをしろと命じます。
頼通さまは恐らく家に閉じこもり、弟・教道さまが宮中に噂を流しまくります。
親子3人ともクソ作戦だとは思っていますが、ほかにいいアイデアが出ません(無事断れた)。
万策尽きた三条帝が、子の敦明親王さまを東宮にすることを条件に退位を飲み、後一条帝が即位します。
倫子さまの母・藤原穆子さまは曾孫・後一条帝の即位を見届け、大満足です。
大河では描かれませんでしたが、長和5年7月26日(1016年8月31日)、満85歳にて大往生を遂げます。
為時パパが出家の意向を固めます。
道長さまは、ささやき摂政兼左大臣となります。
後一条帝に摂政として自分の考えをそのまま言わせ、
同時に陣定(じんのさだめ)にも左大臣として出続けて
公卿たちが帝に奏上する内容を決める役もしているのです。
すべて道長さまの一存で国の進む方向が決まることになってしまいました
(陣定をしてその足で後一条帝の隣に座ってささやいた方が、
道長さまの現在の立場のヤバさが分かりやすかったかも)。
公卿たちからはせめて左大臣はやめろ、いつまで陣定に出てくるのかと反発が上がります。
それを受けて、公任さんが友達として道長さま本人のために、左大臣を辞めた方がいいと説得にやってきます。
さんざん三条帝に辞めろと言い続けてきて、今度は自分が辞めろと言われる番なのかと、
道長さまは静かにあっさりと決意を固めます。
暮れの挨拶と言いながら、いつものようにまひろちゃんの局に通ってきた道長さま。
Xの英知たちに「まひろチャージ」「まひろを吸いに来た」と言われる恒例のアレです。
前回倫子さまに言われた、ほかの女がいると気づいている発言を受けて(?)
周囲に人がいないことを確認すると、
摂政と左大臣の辞任の意向をまひろちゃんに伝えます。
恐らく誰よりも最初です…
辞める理由を道長さまは、自分がやっていても世の中は変わらないと言います。
道長さまから引き継いで摂政になる頼通さまに民を思いやる心は伝わっているかまひろちゃんが尋ねると、
わからない、伝える意味はあるのか、まひろちゃんも物語で人生は虚しいと言っただろうと言います。
まひろちゃんとの約束を果たせていないと道長さまも思っているのです。
まひろちゃんは道長さまを励まします。
「道長さまがこの物語を私にお書かせになったことで皇太后様はご自分を見つけられたのだと存じます。
道長さまのお気持ちがすぐに頼通様に伝わらなくてもいずれ気付かれるやもしれませぬ」
「一人でなせなかったことも時を経ればなせるやもしれません。
私はそれを念じております」
晴明さんが言い残したように光ですねえ…
ほっとした顔の道長さま。
「ならばお前だけは念じていてくれ」
「はい」
2人で見つめあって良い感じでしたが、まひろちゃんがある人の訪れに気づきます。
「お二人で何を話されているの」
倫子さまキターーー!
ついに現場を押さえられてしまいましたよ!
あんなに気を付けていたのに結局倫子さまに背後に立たれちゃったじゃないですか!
政の話で、彰子さまのお気持ちを藤式部から聞いていたともっともらしく答えて逃げる道長さまに、
納得したように見せる倫子さま。
道長さまは倫子さまには政の話をしないんですって!
倫子さまは別にまひろちゃんと道長さまの決定的な現場を押さえるために張っていた…のではなく、
まひろちゃんに頼みがあって来ていたのでした。
その頼みとは、道長さまの華やかなご生涯を枕草子のように書いてほしい、ということでした。
『栄花物語』の執筆依頼じゃないですか!
史実では赤染衛門が書いたと言い伝えられています。
源氏物語や、彰子さまの出産記録での実績を見込んでの依頼ですが、
大河ではどういう理由でまひろちゃんが栄花物語を書かないことになるのでしょうか。
頼通さまは摂政となり、道長さまの3人目の娘・威子さまはナレーション入内…かわいそうです。
彰子さまは愛妻家と組まされ、
妍子さまは年上すぎる愛妻家と組まされ、
威子さまは年下すぎて子どもと組まされ、
現代の感覚ではさんざんな縁組です。
後一条帝より9歳上の威子さまはXの英知によると、
小柄でかわいらしかったので後一条帝ともうまく似合ったらしいです。
唯一の后として2人の子を産みますが、2人とも内親王で居た堪れない思いをしたようです。
そんな威子さまを後一条帝は「昔は女帝が立った事もあるのだから」と慰めたらしいです。
仲睦まじく過ごしたようです。
そして道長さまが左大臣を辞めたことで万年右大臣だった
顕光さんが左大臣になりました。
三条院が崩御すると、後ろ盾を亡くした敦明親王さまは自ら東宮から降ります。
代わりに後一条帝と同じく彰子さまの子の敦良親王さまが東宮になります。
威子さまは後一条天皇の中宮(ナレーション立后)になりました。
道長さまが3人の娘たちで太皇太后・皇太后・中宮の3つの后の位をコンプリートした祝いに宴が開かれます。
三姉妹がとてもいい生地で仕立てられた美しい唐衣裳装束(からぎぬもしょうぞく)で居並びます!
妍子さまと威子さまはご機嫌斜め。
3人そろって笑顔のオフショット見たかったです。
まあ綺麗ねえ♪と姉妹でお互いの着物を褒めあっているところに、
お父さまが来て一気に静まり返っても良かったのに(笑)番組の尺が足りないから…
宴での道長さまの装束は直衣布袴(のうしほうこ)です。
光源氏が敵の家のパーティーに強気イケイケで乗り込んだ時に着た服です。
道長がこの宴で何を着ていたかの記録はないそうですが、
どこかで1度はこの衣装を着せたい、今こそ!という制作陣の熱意で着せたそうです。
摂政となった頼通さまと、Xの英知によると権中納言くらいにはなっている教道さまの
兄弟2人が、自ら舞を披露します。
『源氏物語』で光源氏と頭中将が「紅葉賀」で「青海波」を舞ったシーンのオマージュだと
Xの英知たちで話題になりました。
舞の後、道長さまが実資さんに頼み、頼通さまから行成さんまで盃が巡っていきます。
それはまるで、彰子さまが出産した時にまひろちゃんが詠んだ
めづらしき光さしそうさかづきは もちながらこそ千代も巡らめ
中宮様という月の光に御子様という新しい光が加わった盃は
今宵の望月のすばらしさそのままに千代もめぐり続けるでありましょう。
を思わせる光景です。
あの時にこの歌を「良い歌だ、覚えておこう」と言っていた道長さまでした。
舞台は整います。
道長さまが実資さんに返歌を頼むと、満を持してあの歌がついに詠まれます!!!
この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることも無しと思へば
実資さんは返歌をせずに、白楽天が元シン(環境依存文字・禾辺に眞)の
菊の詩に深く感じ入って返歌をせずに唱和した故事を引き合いにして、
その場にいる一同で繰り返し「この世をば〜」を唱和します。
この菊の詩『禁中九日對菊花酒憶元九』といえばその昔第6回の漢詩の会で、
若き日の道長さまがまひろちゃんに送ったエアラブレター(為時パパ音読)ですよ!
それではみなさま昔過ぎてお忘れでしょうからもう一度。
賜酒盈杯誰共持(下賜の酒は十分あるが君をおいて誰と飲もうか)
宮花滿把獨相思(宮中の菊花を手に満たして私はひとり君を思う)
相思只傍花邊立(君を思いながら菊の傍らに立って)
盡日吟君詠菊詩(一日中君が作った菊花の詩を吟じ虚しく過ごした)
大河的にはさすが仕事できる男・実資さんですよ!
実資さんはその辺のことは何も知らなくて完全に偶然のはずだったのですが、
前回、物語の中の登場人物でありながら制作陣や視聴者側の視点まで知っていることが分かりましたからね(笑)
この望月の歌は道長自身の日記である『御堂関白記』には記されておらず、
実資の『小右記』のみに書き残されています。
なので道長が本当はどういう字を思って「このよ」と歌ったか分からない歌なのです。
実資が想像で書きつけたように「この世」で合っているかもしれませんし、
本当は「子の世」あるいは「この夜」かもしれません。
子の世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることも無しと思へば
この夜をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることも無しと思へば
「子の世」だったら、関白になった息子頼通と后になった3人の娘のことを祝っているだけでしょうし、
「この夜」だったら、今夜はいい夜だ、みんなありがとうくらいの意味になりそうです。
望月の歌は各人で受け取り方が違い、倫子さまは夫婦でつかんだ栄達を思い、
三后は自分たちを道具に使ってこういう歌詠むのかってしらけ、
公卿たちは大体がめでたいという感じだとXの英知。
もちろん、一緒にリピートしたチーム藤原と
入内してくれた娘たち誰が欠けてもなし得なかったという意味も込められてるだろうと別の英知。
まひろちゃんの方を見る道長さま。
降り注ぐ月の光の銀粉。
月の光の銀粉が道長さまに降るのは、2人初めて結ばれた日、そして石山寺での再会以来です。
まひろちゃんが自分に宛てられていると受け取った証こそが、月の光の銀粉だとXの英知。
10年越しの返歌の形でまひろちゃんに贈られたのです。
涙をこらえて微笑むまひろちゃんに笑みを返す道長さま。
廃屋で見上げた「はじまりの月」を2人は思い出しているのです。
あの夜の約束からここまで来ました。
――今夜の望月の光のようなまひろ。俺はお前との約束を果たせたか。
あの夜の満月から俺の気持ちは少しも欠けたことはない。
この月を今日お前と見られるだけで、この世は俺のためにあるようなものだ――
まひろちゃんへ秘かに贈る想いです。
ちなみに演出は前の銀粉2回と同じ、黛りんたろうさんでした。
もう黛りんたろうさん=銀粉ですね!
2024年11月26日
第43回
先週道長さまにさらっと呪詛をかけた三条天皇が、今週華麗に呪詛返しをくらい奉るとXの英知。
なんと、目も耳も悪くされてしまいました。
三条帝は、道長さまの声が小さい、今日は暗い(見えない)と御簾を上げさせたせいで、
手元の書状が逆さまなのにも気づかずに目を凝らす姿を道長さまの前にさらしてしまいます。
それを目の当たりにして、帝を引きずり下ろし奉りたいを差し置いても普通にぎょっとする道長さま。
三条帝の眼病は、精神的ストレスによる緑内障とも、
万病に効いて不老不死になると信じられていた「金液丹(きんえきたん)」という
実際は水銀を含んで毒性がある薬を服用していたからとも、
嗅覚異常や運動障害も起きていたと記録されているために脳腫瘍ができていたとも言われているようです。
「金液丹」は史実では道長があくまでも好意で三条帝に献上していたようです。
病がちだったという道長本人も服用していた話があるというのですから、本当に好意だったのでしょう。
脳腫瘍説は論文がありました。
寺尾榮夫さんの題して「金液丹・灌水の法」。
文献概要には(当サイトのレイアウトの都合で適宜改行します)、
“心にもあらで憂き世にながらえば恋しかるべき夜半の月かな”
百人一首に王朝風の典雅さのなかに何か怨念をにじませたような一首を遺された三条天皇は確かに不運な帝であった.
自分の外孫を早く帝位につけようと画策する時の権力者・藤原道長との確執,
在位四年の間に二度にわたる内裏の出火と貴重な財宝の焼失,
これを天道の諌兆と屁理屈をつけてあからさまに譲位を迫る道長一派…….
こうした権謀術数の渦中に身をおいて心の休まることもなかったであろう.
しかし,帝の最大の不幸は重い頭蓋内疾患に罹られたことである.
病の兆候は即位された翌年の長和二年(1012年)に左の視力の障害で現われた.
症状は一進一退しながら徐々に悪化し,遂に両眼の視力を失われ,
また物の匂を嗅ぐこともできなくなり,最後には麻痺症状も出現して行動も不自由になられたという.
遂に退位を余儀なくされ,その翌年の寛仁元年五月(1017年)43歳で崩御されている.
先輩・恩師として私が敬慕する元都立広尾病院院長で,同時に国学院大学教授でもあった河上利勝先生は
その著書“百人百病”の中で本文でもこの本からいくつか引用させていただいているが―
三条帝のご病気は脳腫瘍であったと推測されている.
脳外科医としてさらに専門的に診断するならば,次の二つの理由で鞍結節部髄膜腫あるいは嗅窩髄膜腫が最も疑われる.
第一に頭記の歌は譲位される寸前で,症状はかなり進み視力は殆んど失われていた頃のものである.
その秀れた内容からして髄内腫瘍は考えにくく視交叉部付近の髄外腫瘍と診断するのが妥当である.
第二に下垂体腫瘍や頭蓋咽頭腫も考慮しなければならないが,
帝には未だ幼い皇子・内親王がおられたことからこの両腫瘍は否定的である.
結局,前頭蓋窩の髄膜腫,特にクロノロジーから鞍結節部のそれとするのが最も合理的であろう.
とあります。
症状から脳腫瘍であり、
退位直前で失明するほど腫瘍が大きくなっていたにも関わらず「心にもあらで…」の歌を詠めたことや、
帝の年齢で、腫瘍のできた位置さえ絞り込めるとか…すごいですね。
左遷イメージが強かった大宰府の人気がストップ高になります
(今の地名の太宰府は「太」宰府」ですが、この時代は「大」宰府」です)。
大宰府に流された有名人といえば、菅原道真や源高明(明子さまの父)ですが、
この時代には宋との貿易の利権目当てに現地赴任する貴族が多かったらしいとXの英知。
あの行成さんまでも己の財を増やしたいから大宰大弐になりたいと言い出します。
そんなキャラじゃない、道長さまから離れ、地方へ行って静かに暮らしたいのが見え見えで、
道長さまも視聴者もみんな本心ではないと分かってしまう11ヶ月の積み重ねとXの英知。
とはいえ行成さんも史実ではこの5〜6年後に、財を成したくて大宰権帥を望むとXの英知。
道長の息子を婿にして、大金が必要になったからだと言われているそうです。
この時、道長さまは行成さんの望みをかなえてくれそうな感じでした。
しかし…
久しぶりに顔を合わせて語らう敦康親王さまと彰子さま。
敦康親王さまは彰子さまに、昔は儚げで消え入りそうだったが今は太い芯を持っていると言います。
「幼い頃の私は皇太后様を自分がお守りしようと思っておりました。
愚かなことを思ったものです。
今の皇太后様は国母にふさわしい風格をお持ちでございます」
敦康親王さまは結婚をして人生の伴走者ができて、彰子さまも強くなって、
淡い初恋と別れて純粋な母と子の関係に戻ったとXの英知。
光源氏と藤壺中宮には辿り着けなかった最高のハッピーエンドになったと別のXの英知。
敦成親王さまとまひろちゃんが漢字の偏と旁の札を組み合わせて漢字を作る偏つぎ遊びをしているところに、
道長さまがやってきます。
まひろちゃんが選んだ札は「交」「会」「寺」で、
逆に読むと「寺」で「会」って「交」わる、石山寺逢瀬のことだとXの英知。
狙ったの!?誰が!まひろちゃんは無実だと思います(笑)
男だったら政に携わりたいと思ってきたまひろちゃんが、今はそうは思わないと彰子さまに語ります。
道長さまへの伊周さんの押しかけ呪詛を目撃して涙し、
前回の宇治川のほとりで辛そうな道長さまを見たからこそ、
「人の上に立つ者は限りなく辛く寂しい」と思うようになったのですね。
三条帝に退位を迫る道長さまに、実資さんが苦言を言いに来ます。
実資さんも三条帝は退位した方が良いと個人的には思っている様子ながら、
今すぐ無理に引きずりおろし奉るのも違うと思い、
しかも三条帝に忠臣はそなただけだと頼られてしまい困っていて、難しい立場です。
道長さまが民の幸せのために政をする(そのために三条帝の退位が必要)と言うと、
民の幸せとは?本当にその幸せにしたい「民」の顔は見えているのか?
そんな曖昧なものより、何か起きた時にまっとうな判断ができるよう備えておくことの方が大切だと
真っ向から反論します。
実資さんの言っていることはある意味正しいのです。
しかし民の暮らしの幸せには決してつながることがない、
国家の仕組みだけを支えるような嫌な官僚感も強い実資さんです。
まあ、道長さまにとって痛いところは突いています。
直秀さんたちのことがあって、志は本気だったとはいえ、
本当に民の幸せにつながる政を果たせたかは謎な道長さまです。
手厳しいXの英知たちも、
道長さまはただ初恋の少女の望みを叶えたいとまひろちゃん越しに「民」なるものを見ていただけ、
彼が直に見ていたのは兼家パパの政治家としての手つきの方なので、
「望む政治をしたいならば帝を自分の都合のいい帝に変える」しか発想がなくて、
しかも権力を得たところで何をすべきかの案はなくて、社会を回す確かな政治をしていない…とバッサリです。
話しているうちに2人の話題は少しずつそれていきます。
実資さんの
「志を追いかけるものが力を持つと、志そのものが変わってゆく。それが世の習いにございます」
発言はXの英知によると、
「今までの大河ドラマの主人公はみんなそうだったでしょう」という意味にとれるそうです。
「メタ発言(メタフィクション発言)」っていうやつですね。
物語の登場人物が、物語の世界の外側にいる作者や視聴者しか知り得ない知識や裏事情について、
作中で発言することをいうらしいです。
道長さまが「意味が分からない」と言うのはもっともです。
嫡男の頼通さまが側室を迎えるのを嫌がって立ち去ったあと、
道長さまと屏風の前にひな人形のように美しく並んだ倫子さまが、長年溜め続けた思いを吐き出します。
「私は殿に愛されてはいない」
「殿が心から愛でておられる女がどこぞにいるのだと疑って苦しいこともありました」
でも、今は帝の祖母になれるかもしれない誉れを思えばそんな些細な悩みなど吹き飛ぶ。
吹き飛ぶだけのことを道長さまがしてくれた。
そうはいっても「私とていろいろ考えておりますのよ。
ですからたまには私の方もご覧くださいませ。
フフフフフフ…」
怖いですよー!すべてバレてますよ。
言葉と裏腹に別に倫子さまは今なお、何もかも許しているわけではありません。
この大河の中で倫子さまは、まひろちゃんと道長さまの間に割って入ってきた邪魔者であり、
道長さまの栄達のために、その身分と財力をまひろちゃんと道長さまの2人に利用された被害者でもあります。
まるでひな人形(=天皇・皇后)のような女の幸せの頂点の裏側です。
為時パパが帰京します。
史実では越後守は1年の任期を残しての辞任でした。
途中でやめた理由は一説には紫式部が亡くなったからと言われているそうです。
でもこの大河で宇治十帖を書き終えていないまひろちゃんはまだ死ねません。
隆家さんは、狩りの時に枝で目を傷つけて治らないと言い出します。
ずっと仕事も休んでいるので、実はご近所さんで仲良しの実資さんがお見舞いに来て、
大宰府に宋から来た腕の良い薬師がいるから行ったら?大宰大弐の役職がちょうど空席だし、と教えてくれます。
「突目」という眼病で、今でいう「匐行性角膜潰瘍」らしいとXの英知。
角膜に異物が刺さり小さな傷が出来て細菌に感染して発症するそうです。
刀伊の入寇の中心人物たちが動き出したとXの英知。
合わなそうなこの2人がなんで仲良くなったかは謎ですが、
隆家と実資が親しく、隆家が実資にバシバシと報告の手紙を出したために
「刀伊の入寇」の全容が京へ伝わり、歴史にも残ったと言われているそうです。
隆家さんも道長さまに大宰大弐として大宰府に行きたいと申し出ます。
道長さまは隆家さんの願いを叶えてしまうのです。
もっと前からそのポジションを行成さんが予約していたというのに…こちらは反故にされます。
大宰府に行く除目の約束を覆された行成さんが
「道長さまは私を何だとお思いでございますか?」と悔しさと怒りをあらわにすると、
道長さまは「行成は…おれのそばにいろ。そういうことだ」と答えて去ります。
どういうことですか!!
「道長なんなんです??束縛系彼氏みたいなこと言って行成くんの心をかき乱すのやめてもらえます??」
「行成、クズ男と別れられない彼女みたいになっちゃった」とXの英知。
Xの英知によると、この大河の行成さんはダメンズにハマる女性の特徴を一身に備えているそうです。
いわく
・好きな相手に尽くしがち
・押しに弱く、頼まれると断れない
・素直で相手の言うことを真に受けやすい
・誰かに必要と思われたい欲求が強い
・恋愛経験が少ない
恐ろしいことに(?)この二人は、同じ年、同じ月、同じ日(万寿四年十二月四日/西暦1028年1月3日)に亡くなるそうです。
もう三国志演義の桃園の誓いじゃないですか。
「生まれし日、時は違えども兄弟の契りを結びしからは、
心を同じくして助け合い、困窮する者たちを救わん。
上は国家に報い、下は民を安んずることを誓う。
同年同月同日に生まれることを得ずとも、同年同月同日に死せん事を願わん」
…なんということでしょう!
事実は小説より奇なり!
劉備・関羽・張飛は願う通りに生きられなかったというのに!
道長さまと行成さんは特に義兄弟の契りは結んでいないでしょうに!
旅立つ隆家さんから別れの挨拶を受けるききょうさんが、突然穏やかな性格になりました。
それを隆家さんに尋ねられたききょうさんの答えです。
「恨みを持つことで己の命を支えてまいりましたが、もうそれはやめようと思います。
この先は脩子様のご成長を楽しみに、静かに生きてまいりますので、お心置きなくご出立くださいませ」
前回からの間にどんな心境の変化があったのでしょう。
Xの英知にも、ききょうさんの第42.5回が見たいという人がいらっしゃいました。
いつぞやの討ち入りの件で、敦康親王さまからお叱りを受けたのでしょうか(笑)
それにしては討ち入りから間が空きすぎのようにも思います。
「しず〜〜かに生きてまいりますので」の言い方に、
もう余計なことはいたしませんという決心が感じられるような気がしました。
後から自分自身で気が付いてあの振る舞いを反省したと考えた方がききょうさんらしいでしょうか。
この感情の治まり方は更年期障害のイライラ時期が終わった様子に似ています。
何でも更年期扱いなんてと思う方もいらっしゃると思いますが、
この回はまひろちゃんが45歳くらいらしいので、それより少し年上のききょうさんはそういう年代でしょうし、
脚本家が女性なのでそういうこと考えながら話を作るのではないでしょうか。
双寿丸さんは隆家さんにお供する主君・平為賢さんに従って大宰府に向かうことになります。
賢子ちゃんの双寿丸さんへの淡い初恋は終わりを告げます。
双寿丸さんも賢子ちゃんは好きなんでしょうけど、武者と姫は一緒になれないと分かっているのです。
「上手い飯がゆっくりと食えて、妹みたいなお前がいて楽しかった。
俺は捨て子で身寄りがないゆえ、お前の家には俺の知らない温かさがあった。
ありがとう」
妹としてしか見られないからというのは少女漫画での振られる定番セリフだそうです。
「おじじ様と母上といとには改めて礼を述べに行く」…良い人じゃないですか!
「必ず武功を立てて生きて戻るから待ってろ」とかいわないところが最高に良い!とXの英知。
双寿丸さんに振られてしまった賢子ちゃんが、母上に恋の相談をします。
あの賢子ちゃんが、まひろちゃんと親子の会話をするようになったのですよ!(泣)
「母上は振られたことある?」とたずねると、
まひろちゃんは「あるわよ」と答えます。
ありましたっけ?道長さまとのあれやこれやは、むしろ道長さまの方が振られたつもりでいるよと思っていたら…
ずっと前に実資さんに振られていたとXの英知。
実資さんからは縁談を断られ、まひろちゃん側も当時実資さんが病気をしたの知って取り下げたのでした。
「私の胸で泣きなさい」と両手を広げるまひろちゃんの袿の袖が「魅せられて」のジュディ・オングだ、
「女は恋」だとXの英知。
賢子ちゃんは、せめてあの人の思い出に残って欲しいと、健気に見送りの宴をしたいと決めます。
双寿丸さんの門出の祝いで福丸さんが歌いながら踊る「二つに久しき鹿島立ち」というのは、
見送りの宴で謡う定番だったとXの英知。
「二つ」とは鹿島の神である建御雷神(たけみかづち)と、香取の神である経津主神(ふつぬしのかみ)のことで、
「鹿島立ち」とは、防人や武士たちが旅立つ際に、道中の無事を鹿島神宮に祈願したところから、
旅立ちのことをいうそうです。
無事に帰ってきてほしいということです。
次回ついに「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」!!!
キタキタキター!!!
「次回壇ノ浦の戦い!」とか
「次回本能寺の変!」とか
「次回犬伏の別れ!」とか
「次回関ヶ原!」とか
「次回薩長同盟!」とか
「次回大政奉還!」とか
みたいな「次回望月の歌!」とXの英知。
今までなかったタイプの大河ドラマです。
ありそうでなかった、
戦乱なし、人の心の機微のみで人を殺して滅ぼす大河ドラマを堪能し尽くして楽しいとXの英知。
編集者をしているという英知は、物語を作る人たちからもおおむね好評を聞いているそうです。
ただ、そういう人たちからは同じ不満も聞こえるのだそうです。
それというのは、紫式部が源氏物語を書く中で抱いたはずの、
物語を紡ぎ出す生みの苦しみや反響への不安からくる孤独が描かれていないということです。
「弦なハが足りない」ってことですね!
(弦なハ=『弦のないハープ』とは、管理人激推しの創作の苦しみを描き切った恐ろしい絵本です)
1年間という限られた時間の中で他にも書かなければならないエピソードが多くある中、
生みの苦しみは、書き始める前に柱にもたれてうんうんうなっていたあれだけでいいでしょう。
この大河の物語のテーマは創作する人の生みの苦しみや反響の不安というわけではないのです。
そういうのはまた別の物語で語ればいいのです。
つべこべ言わずに弦なハを読みましょう!!
2024年11月19日
第42回
顕信さまが出家してしまい、のっけから明子さまに掴みかかられて肩を殴られる道長さま。
明子さまはそのまま気絶して寝込んでしまいます。
道長さまは、顕信さまの得度を見守るために比叡山に馬で向かったものの、
寺の関係者に無礼者と呼ばれて石を投げつけられるトラブルに見舞われます。
それを人づてに聞いていた三条帝は道長さまに、
石が飛んできただけでも祟りがあるらしいと脅かします。
道長さまを全力で振りまわし始める三条帝。
サクっと道長さまの娘の妍子さまを中宮に選びます。
そうして妍子さまを大切にしていると見せかけたうえで、
昔からの妻である、すけ子さま(「すけ」は環境依存文字で、「女」偏に「成」)を皇后に立てます。
しかも「一帝二后」は道長さまが前例を作ったものだろう、
「そなたがこれをのまぬなら朕は二度と妍子のもとには渡らぬ」という脅し付きです。
すけ子さまの父は大納言で、普通は女御にもなれずに更衣になる身分です。
そんな身分の低い女性を妻にしていたのは、東宮時代の三条帝が冷遇されていたからだとXの英知。
三条帝はすけ子さまに箔を付けるために、
亡き父の藤原済時さんに右大臣を追贈してもっともらしい身分にしてしまいます。
事実は小説より奇なりというやつですね…
大納言であった父を亡くした後に入内した光源氏の母・桐壺更衣を、
どうにもかばえなかった桐壺帝が常識人に見えます。
ありえない設定にしてしまうと読者が誰もついてこないからできないのです。
後ろ盾の無いすけ子さまの立后は悲惨なものになりました。
道長さまたちの顔色を窺わざるを得ない公卿たちが軒並み儀式を欠席し、
参列した公卿は藤原実資さん、藤原隆家さん、藤原懐平さん、そして弟の通任さんで、宴の席もがら空きです。
実資さんはすけ子さまの父のもとで有職故実を学んだので、亡き師匠の娘への恩返しだったとXの英知。
大河の中ではすっかり嫌な奴キャラな三条帝ですが、
見方を変えると新しく来た若い妻よりも糟糠の妻を何とか守ろうしているので、
普通にめっちゃ良い男だとXの英知。
実資さんに、50代半ばにして愛娘・千古ちゃんが生まれます。
実資さんは千古ちゃんを「かぐや姫」と呼んで溺愛したと歴史物語の『大鏡』に描かれてるそうです。
千古ちゃんの名前の読み方は「ちふる」となっていましたが、
当時の記述に読み仮名までは残っていなかったでしょうから「ちこ」ちゃんの方がいいじゃないですか!
どうですかNHK!ボーっと生きていいじゃないですか。
彰子や倫子や政子といった「子」がついた名前は、
女性が官位を受ける時に必要な書類上外向きの名前で、幼名は別にあったと言われているそうです。
幼名が記録に残ることはまずないのですが、
千古ちゃんの場合は実資パパが『小右記』に書いちゃったおかげで残っているそうです。
第31回で実資さんと密会していた古文訳考証の千野裕子先生(百乃さん)が、
千古ちゃんの母となって再登場しました。
今回は担当した考証案件がなかったので、クレジット1回の普通の俳優だったそうです。
妍子さまは帝のお渡りもなく放置されています。
それを心配する道長さまがまひろちゃんのところに、
一条帝の時とは違って「源氏の物語ももはや役には立たぬのだ」と愚痴りに来ます。
聞いているまひろちゃんは自分の役目の終わりを感じたでしょう。
別にそういうつもりではない道長さまはまひろちゃんに、
あれだけの物語を書けるんだから、いい知恵ない?と尋ねますが、
まひろちゃんの答えは「物語は人の心を映しますが、人は物語のようにはいきませぬ」。
夜、まひろちゃんはいつものように月を見上げながら、
「物思いばかりして、月日が過ぎたことも知らぬ間に、この年も我が生涯も今日で尽きるのか」
と、「幻」に登場する光源氏の最後の歌
もの思ふと過ぐる月日も知らぬ間に 年もわが世も今日や尽きぬる
を口ずさみます。
そして、まひろちゃんは「雲隠」のタイトルだけを文机の上に残して道長さまのもとを去ります。
双寿丸さんは毎日のように訪ねてくるのをいとさんに咎められたのを、
「あんたの飯が旨いから」と返します。
いとさんは「まっ!口がうまいこと」と言いながらまんざらでもなさそうです。
誰もいなくなったまひろちゃんの局でこの原稿を見つけて、頭痛がひどくなる道長さま。
その夜道長さまは病に倒れます。
道長さまがこの大河で病に倒れるのは2度目ですが、
史実で道長は若いころから病気がちで、40代を過ぎると意識を失うなど深刻な症状がみられていたらしいです。
宇治の大河ドラマ館でXの英知がパネルを見たそうです。
道長さまは左大臣を辞めようと三条帝に辞表を出します。
本音では辞表を受け取って辞めさせたかった三条帝ですが、
こういうものはとりあえず返すのが普通だと側近に言われて、嫌々辞表を返します。
ここで辞表を受理していれば歴史が変わったかも、とXの英知。
道長さまが病に倒れてすぐ、宮中では怪文書が回ります。
道綱さまや実資さんや隆家さんら5人の公卿が道長さまの病を喜んでいるというものです。
もちろん大河の中でも作り話です。
実資さんや隆家さんは静観を決めます。
しかし道綱さまは噂が嘘だと伝えに、寝込んでいる道長さまをわざわざ尋ねてしまいます。
「俺だけはお前の味方だからな」!
うるさ過ぎて倫子さまと百舌彦さんに追い出されます(笑)
道綱さまが道長さまの病を喜ぶはずがないと、道長さまも倫子さまも視聴者も100%わかっているとXの英知。
実際、名前を挙げられた実資は『小右記』に、
「道長は『中宮大夫(道綱)と右大将(実資)はそのようなことはしない」と言った』と書き残したそうです。
里に帰ったまひろちゃんは、彰子さまのお呼びにも応じませんでした。
何もすることがないからと掃除をして、
賢子ちゃんも大人になって安心だからもう出家しようかと言い、
夜には琵琶を悲しげに鳴らしています。
あれだけの長編を脱稿して、すっかり燃え尽きています。
賢子ちゃんには「書かない母上は母上でないみたい」と言われます。
道長さまの病は治らず、宇治の別邸で療養するうちに生気もなくなり、
百舌彦さんが差し出す飲み薬は受け取りません。
彰子さまに嫌われ
妍子さまの素行が悪く
行成さんに怒られ
顕信さまに当てつけ出家され
明子さまに殴られ
帝に比叡山で石を投げられたなら祟られると言われ
本当に病気になり
頭痛くて
もうみんなに嫌われて味方がいないと、
とうとう道長さまの気持ちが折れてしまったとXの英知。
道長さまが飲み薬を受け取らないと見るや、特効薬を求めて都に戻る百舌彦さん。
まひろちゃん(特効薬)を連れて再び宇治へ向かいます。
Xの英知の調べによると、宇治の別邸が現在の平等院鳳凰堂近辺だったとすれば、
百舌彦さんが現在の蘆山寺近辺のまひろちゃんの家まで呼びに行くのに、約17.3kmの道のりだそうです。
整備された現在でも徒歩4時間の道のりで、しかもこれは片道なのです。
この道のりを明日をも知れぬご主人のために急ぐなら、やっぱり馬でしょうか。
まひろちゃんも昔、宣孝さんの馬に乗っけられてましたから、イケるでしょう!
そして!今回最大の名場面が幕を開けます!!!
まひろちゃんが到着すると、うなだれた道長さまは光に透けるようで今にも儚く消えそうな様子でした。
それを見て思わず涙するまひろちゃん。
道長さまの死を現実的に感じたのでしょう。
涙を拭いて「道長さま」と声を掛けます。
顔を上げる道長さまは声の主がまひろちゃんだと気づくと、シャキッとします。
弱ってるとこ見られて気まずい男子かよ、
会ったらみるみる生気取り戻してんじゃねーよ!とXの英知。
百舌彦さんが求めた特効薬の効果が表れ始めました。
聞いた話よりは道長さまが元気そうでほっとするまひろちゃん。
そして出会ったときに鴨川のほとりを歩いたように、宇治川のほとりを歩く二人。
道長さまは、前に「早めに終わってしまった方が楽」と言ったまひろちゃんの言葉が分かった、
誰のことも己も信じられぬと弱気です。
遠い日のまひろちゃんの言葉を胸に、本来の自分には向いてない権力闘争を生き抜いて、
最近では己を見失っていた道長さまは、
もう約束は忘れていいとまひろちゃんに言われて、
「お前との約束を忘れれば俺の命は終わる。それで帝も皆も喜べばそれでもよいが」と答えます。
そんなことを言ってはだめ、などとは言わずにここまで話を聞いていたまひろちゃんは、
「ならば私も一緒に参ります」と心中を持ち掛けます。
冗談だと思った道長さまが「戯れを申すな」と言うと、まひろちゃんは続けます。
「私ももう終えてもいいと思っておりました」
えっ、という顔になる道長さま。
「この世に私の役目はもうありませぬ」
笑みすらこぼしながら飄々と語るまひろちゃんの言葉に涙ぐむ道長さま。
「この川で2人流されてみません?」
やっとまひろちゃんに一緒に遠くの国に行こうって言ってもらえたとXの英知。
すると道長さまはそれに応じるのでもなければ断るのでもなく、
突然「お前は俺より先に死んではならぬ」と関白宣言(さだまさし)を始めます。
関白になるのは嫌だと断り続けていたのに…
たとえ自分と心中でも、まひろちゃんが死ぬことを想像しただけで耐えられないのです。
関白宣言を受けてまひろちゃんが
「ならば道長さまも生きてくださいませ。道長さまが生きておられれば私も生きられます」
と告げると、道長さまは堰を切ったようにむせび泣きます。
今わの際の晴明さんの言葉通りまひろちゃんは「あなた様を照らす光」なのです。
彰子さまを中宮にした頃からずっと道長さまは闇落ちしたとXの英知たちに言われ続け、
野心の出どころは本人の言葉通りまひろちゃんとの約束というよりも、
兼家パパから受け継いだ血が無意識にさせている行動なのかとも言われ続けていましたが、
この涙によって、本当は三郎だった頃と何も変わっていない
心根の優しいただの三男坊が無理をしてきたんだなと感じたとXの英知。
まひろちゃんに生きる糧と言われた歓喜と、
まひろちゃんをこの世から失わずに済んだ安堵が入り混じった涙が、
道長さまの病を流し去っていきました。
この川辺のシーンは今年のあの猛暑の中撮影されたらしいです。
ただ日差しが明るいだけで暑さを感じさせない2人、すごいです。
一方のまひろちゃんも「この川で2人流されてみません?」と
口に出した直後に急に真顔になる瞬間が訪れます。
宇治十帖の構想が降りてきたのです。
こうして、源氏物語を「雲隠」まで脱稿して抜け殻だったまひろちゃんも復活します。
家に帰ると創作の泉が湧くように庭の井戸の水面がキラキラと煌めいています。
まひろちゃんはしまい込んでいた筆やすずりを出して、墨をすり、
紙を文机に載せて、目を閉じて心を落ち着かせると、
おもむろに筆を執り『光隠れたまひにし後…』と続きを書き始めるのです。
あくまでも道長さまに依頼された仕事から離れることがなかった「雲隠」までの源氏物語とは違い、
まひろちゃんが本当の意味で「書くことで自分の哀しみを救う」のはここからなのかもしれないとXの英知。
書道指導の根本さんによると、
まひろちゃん演じる吉高さんが自ら書く「光かくれ〜」の文字の「光」は、
大河の題字と同じような筆跡になるように寄せたのだそうです。
なんと「もともと、題字のコンセプトが『まひろが道長へ恋文を書くとして、
その宛名を「道長さまへ」ではなく「光る君へ」と書いたとしたら…』というのが元になっていた」のだそうです!
あの題字はまひろちゃんの筆跡だったのですね。
16日の月は雨が降って見えませんでした(汗)ざんねーん!
そして、次回の感想の後に書きたかったのですが来週の予告で見ちゃったので…
姉妹サイトのXでは13日に書いていたんですが、
隆家さんがこれから大宰府に会いに行く宋の薬師の正体は周明じゃないでしょうか!
越前守の娘を暗殺しかけた身なので名前を変えて活動しているとか、
今後の展開でありそうだと思っていたんですよ。
そうしたら…次回予告に周明いるじゃないですか!
何をする人になっているのかはまだわかりませんが、やっぱり再登場ですね。
2024年11月14日
第41回
いつの間にかまひろちゃんと賢子ちゃんが、同じ寝室で話せるぐらいまで関係が改善できていました。
あんなにこじれてからこんなに簡単に変われる?とは思いますが、惟規くん良かったね。
「怒ることが嫌いなの」と言う賢子ちゃんに道長さまを見るまひろちゃん。
藤壺では彰子さまが、幼い敦成親王さまが庭で撫子の花を摘むのを見ながら初めて歌を詠みます。
見るままに露ぞこぼるるおくれにし心も知らぬ撫子の花
見るにつけ涙の露が零れます。父に先立たれた事も知らずに撫子の花を摘む幼い我が子よ
(「おくれ」とは「死に後れる」ということ。「撫子」は「撫でし子」で「子ども」のこと)
一条帝の辞世の歌への返歌のようだとXの英知。
物語を読んでもらう相手であった一条帝が崩御したのに、
まだ源氏の物語を書いているのかとまひろちゃんに尋ねる道長さま。
始めたら終えなきゃならないじゃないですか…
別に打ち切りを伝えに来たわけではない道長さまは、
紫の上はどうしたのか、先の展開を尋ねます。
道長さまに聞かれたまひろちゃんは、
「紫の上は死にました。
誰も彼もいずれは黄泉路に旅立つと思えば、
早めに終わってしまった方が楽だと思うこともございます」
と意味深な発言をします。
光源氏は18歳の時に出会った紫の上を33年後に亡くし、
今の時点でまひろちゃんと道長さまも出会って33年経っている(978-1011年)とXの英知。
道長さまにとって紫の上は、鳥の子を逃がした若紫=まひろちゃんです。
まひろちゃんも道長さまのそばでの役目を終えつつあると感じているのでしょう。
強引に敦成親王さまを東宮に立てたことについて、
なぜそれほどの権力を求めるのかとまひろちゃんに問われた道長さまは
「お前との約束を果たすためだ」
「俺は常に、お前との約束を胸に生きてきた」
「その事はお前にだけは伝わっておると思っておる」
ついに!はっきり言っちゃいました!
藤壺では、気晴らしに内内のみんなで秋をお題に歌を詠む会が開かれます。
赤染衛門さん
誰にかは告げにやるべきもみぢ葉を思うばかりに見む人もがな
いったい誰に告げればいいでしょうか。この紅葉の美しさを一緒に楽しんで見てくれる人がいればいいのに。
まひろちゃん(紫式部)
なにばかり心づくしにながめねど見しにくれぬる秋の月影
これといって心を傾けて眺めていたわけではなかったけれど、秋の月は見ているうちに涙で曇ってしまいました。
あかねさん(和泉式部)
憂きことも恋しきことも秋の夜の月には見ゆる心地こそすれ
憂鬱なことも恋しいことも、すべて秋の夜の月に映し出されている気持ちのする夜ですね。
まひろちゃんは月影キター!
和泉式部のうまさは頭ふたつくらい抜けている感じがするとXの英知。
そこへ突然、敦康親王様から彰子さまへの贈り物の椿餅を携えて、ききょうさんが乗り込んできます。
彰子さまが敦康親王さまをかばって、左大臣である父・道長さまと大喧嘩したことも知らないききょうさんは、
彰子さまの悪意のない「敦康さまはお元気か」に無理やり揚げ足を取って、好き放題に嫌味を吐きます。
わざわざ喪服を着てきてやったのにバカみたい、
帝が亡くなったばかりなのにこんなに楽しそうにお過ごしで、敦康親王さまのこともすっかり忘れて、
彰子さまの敦康親王さまへの慈しみも所詮は浅い思いで、
まあそうは言っても敦康親王さまには脩子内親王さまと私がついているから平気です。
…という意味ですが、何言ってるのこの人状態でした。
彰子方の女房は、ききょうさんに「控えよ!」と言って追い返してよかったと思います。
まひろちゃんは日記についに「清少納言は得意げな顔をした酷い方になってしまった」と書きつけます。
これが大河版の、有名な清少納言をこき下ろすアレが書かれたいきさつになりました。
もう友達には戻れません。
日記を書いたすぐ後の場面で月を見上げるまひろちゃん。
今宵は上弦の月が薄雲の向こうに見えます。
それを見たXの英知たちが、紫式部が久しぶりに会ったのにすぐに帰ってしまった古くからの友人を詠んだ
めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に 雲隠れにし夜半の月かな
がキター!と言っていました。
何より今回は「清少納言闇落ち」とXの英知たちが騒然となりました。
紫式部が日記にああ書いても仕方ないと思わせる脚本ナイス!とXの英知。
別の英知は、ききょうさんが大河の物語に今も自然に絡んでこられるのは、
脩子内親王や敦康親王に仕えているというあり得そうな設定の妙だと称えました。
今のききょうさんが敦康親王さまと本当に近しく日々を送っているなら、
どんなに彰子さまが敦康親王さまを慈しんで育てたか、
敦康親王がどんなに彰子さまが好きか少しは分かるだろうに、
この様子ではききょうさんの方こそ敦康親王さまにきちんと寄り添って仕えていないともXの英知。
清少納言推しの英知たちは複雑そうな感想でした。
史実の清少納言はかなり念入りに政治的な配慮を『枕草子』に仕込んでいて、
そもそもの話として敦康親王のことをほとんど『枕草子』に登場させず、
「三条の宮におはしますころ」での一節にしか敦康親王は出てこないと清少納言推しの英知。
英知によれば『枕草子 論究』で津島知明さんは
「禁欲的と思えるほど、彼(敦康)への言及は避けられている」と評しているそうです。
清少納言が、定子の思い出がつまった『枕草子』と敦康親王を、
左大臣(道長)勢力から守るために書かなかったのではと言っていました。
この寛弘五年頃には、清少納言の娘・小馬命婦も彰子さまの後宮に仕えていた記録があるとも(人質?)。
史実通りでは、あんな風に乗り込んで彰子(=後見の左大臣道長)に攻撃するのは不可能なのです…
史実の紫式部と清少納言の間には何があったのでしょうね。
相当にぼろくそに書いているので、2人の間に面識というかトラブルが何もなかったとも思えません。
紫式部は恐らく狙って源氏物語に枕草子要素を前向きに取り入れていたのでしょうから、
枕草子自体は割と好き、そればかりかファンといえるくらい大好きだったのかもしれません。
そしてそれを書いた清少納言にも憧れていたかもしれません。
そうなると遅くても紫式部が源氏物語で評判を得てからの時期のどこかでは、
2人が関わりを持つ機会があって、その時に清少納言に冷たく当たられた(!)とか何かあって、
紫式部は清少納言ファンからアンチに豹変してしまったのかもしれないと思います。
敦康親王さまは彰子さまに会いに藤壺に行き、御簾越しの面会に我慢出来ずに中に入り、藤壺を出禁となります。
道長さまによる敦康親王さまの出禁に、ずっと道長さま推しだった行成さんが
「左大臣さまは、敦康さまから多くのことを奪い過ぎでございます」と怒ります。
敦康親王さまに関わる件で、道長さまにずっと小さな違和感を重ねてきた様子の行成さん。
これからどうするのでしょう。
ところで、源氏が藤壺の御簾を越えて想いを遂げてしまうシーンそのものは源氏物語に描かれてないので、
敦康親王さまと道長さまだけはまひろちゃんが書いたやつではなくて
『あさきゆめみし』を読んでいる可能性がずっとあるとXの英知。
そういえばそうです(笑)
またご飯を食べにくる双寿丸さん。
いとさんは困っていますが、お方さま・まひろちゃんは別によろしいようです(笑)
まひろちゃんは賢子ちゃんと双寿丸さんに、幼いころの自分と三郎の頃の道長さまを重ねています。
左大臣である父の道長さまの意のままに生きるのはこりごりだと思った彰子さまに、
まひろちゃんが弟たちを味方にするように進言します。
彰子さまは腹違いの弟たちにまで声をかけて藤壺に集めると、
父上の政を支え、時に父上を諫められるのはこの私たちだけだと訴えます。
側室の明子さまが生んだ弟たちは、彰子さまから呼ばれたこと自体に感激します。
道長さまの計らいで正室の倫子さまが生んだ弟たちよりも出世が遅らされたままなのです。
頼宗さまは後に皇太后宮権大夫に任官し、彰子さまに側近として仕えることになるようです。
彰子は道長亡き後の摂関家を支える存在となり、
子どもや弟妹たちを支える強い国母として、入内から70年以上も後宮で存在感を保ち続けるのです。
敦康親王さまに続き(?)、妍子さまも御簾を越えます。
妍子さまは、夫・三条帝の息子である敦明親王さまに、自分から御簾を出て「す・き」と言い寄り、
敦明親王さまの母・すけ子さま(「すけ」は環境依存文字で、「女」偏に「成」)をキレさせます。
三条帝は道長さまに、蔵人頭に明子さまの子・顕信さまを、と求めます。
蔵人頭になれたら出世がようやく見えてくるのです。
しかし!それを道長さまはなんと断ってしまいます。
三条帝はすぐに引きずりおろし奉りたい(!)から、
側近にさせたくないという政治的判断でしたが伝わらず、
異母兄弟である倫子さまの子どもたちより出世が遅れていることを気に病んでいた顕信さまは、
絶望して出家してしまいます。
当時の出家は社会的な死を意味します。
父に出世の機会を壊されたと知った顕信さまの絶望した顔が、呪詛する伊周さん並みに凄かったです。
この感想もまた2週遅れになってしまいました(汗)
出来たら今週中にもう1回分書きたいですが、分からないのでお知らせです。
次回の第44回「望月の夜」ではとうとう「この世をば」の歌が詠まれる
寛仁二年十月十六日(1018年11月26日)を迎えるようです!!!
そして!その夜とほぼ同じ形の月が放送前日の11月16日に昇るそうです。
狙って放送計画を立てて当てたのでしょうか。
みんな月を見よう!
2024年11月6日
第40回
帝の御前で源氏物語の朗読会が開かれます。
亡き定子さまの忘れ形見・敦康親王さまがまひろちゃんに
「藤壺は光る君を誠はどう思っておったのであろうか」と尋ねます。
解釈を読者に任せるまひろちゃんは微笑むだけで何も答えないので、
敦康親王さまは「藤壺は光る君のことをいとおしんでいたと思うことにします」と言って彰子さまをチラ見。
それを見た道長さまがすかさず
「藤壺の思いを得たとしても光る君は幸せにはなれなかったと思います」
「不実の罪は必ず己に返ってまいりますゆえ」
とツッコみます。人のことを言えるお立場だったでしょうか?(笑)
すると、あかねさん(和泉式部)が「罪なき恋なんてつまらない」と異を唱え、
なんと赤染衛門さんまで「道無き恋にこそ燃える」と!!
恋愛マスター和泉式部&酸いも甘いも噛み分けた美熟女赤染衛門、
反りが合わなさそうな2人の意見が奇跡の一致を見せたとXの英知。
うなずいて笑うんじゃありませんよ、道長さま!!
前回から具合が悪そうだった一条帝。
貧しく暮らす民の心に寄り添うためにと、
寒い夜も暖を取るための火をたかず、薄着で過ごしていたのです。
それでは民と同じように病気になって死ぬとXの英知。
そこまでして民を思う帝に、
彰子さまは(前回まひろちゃんと読んでいた)
『新楽府』の「百錬鏡」に書かれた太宗皇帝のようだと尊敬を伝えます。
ようやく漢籍を学んだ成果を帝にお披露目できました。
帝も嬉しそうです。
とたんに胸を押さえて嫌な咳をする帝…一段と体調が悪くなっています。
一条帝が貧しい民を思い寒夜でも暖かな衣を着なかった、という話は、
彰子が語った摂関家の大切な伝承として、『中外抄』に記されている史実だそうです。
「人民の寒かるらむに、吾、かくて暖かにてたのしく寝たるが不憫なれば
(民が寒い思いをしているのに自分だけ暖かく過ごすわけにはいかない)」と
薄着の理由を聞いた彰子に答えたといいます。
赤染衛門さんの夫・大江匡衡さんが道長さまの命で帝の先々を占います。
この占いは「易」で、四角い溝のついた算木を使い陰陽の組み合わせを見るそうです。
って、どこで占っているんですか!
帝がこっそり聞き耳を立てているじゃないですか!
わざとですね!
これで「崩御」と出たのを一条帝が知ってしまって、ますます体調を崩したのは史実だそうです。
『御堂関白記』や『権記』に記述があるそうです。
ここでひさびさに星空シーンが登場しました。
はくちょう座です。
星ナビのXの英知によると、星の傾きは崩御2か月前の
寛弘八年四月二十二日(1011年5月25日)の21時ごろの東の空だそうです。
なぜ白鳥?
ヤマトタケルが亡くなった時に体から抜け出した魂が
白鳥に姿を変えて飛び去ったという言い伝えと関係あるんでしょうか?
いざ崩御した時に白鳥飛ばさなきゃ意味分からないじゃん!(飛ばなかった)
尺の関係…?
譲位を決めた帝は東宮を呼びます。
帝がお呼びだと聞いた東宮・居貞親王さまは
「帝は、それほどお悪いのか」と嬉しそうでいけない人です(汗)
その居貞親王さまに嫁いだ道長さまの次女・妍子さまの贅沢三昧にお説教する道長さま。
ところが、父上のために我慢して18歳も年上の居貞親王さまに嫁いだが、
年齢が釣り合う息子の敦明親王さまと結婚したかった、と危険発言を食らって絶句します。
道長さまも大変です(笑)
本当は敦康親王さまが東宮になるべきと考えていた行成さん。
孫の敦成親王さまを東宮にしたい道長さまにもその考えを伝えました。
しかし結局帝に、敦康親王さまを東宮に立てることをあきらめるように一条帝を説得します。
このあたりの流れも記録があるようです。
帝の望みは心から叶えたいけれども、
それで敦康親王さまの行く末が幸せになるとは言えないのです…
後ろ盾となる外戚がいない帝は立場が弱くなるからです。
後見が弱くても周囲の公卿が支えればいいのですが、
敦康親王さまを支えきれる有力な公卿がいないのです。
帝の「分かった下がれ」を受けて、
行成さんは「敦成様を東宮にと仰せになった」と道長さまに急ぎ報告しました。
敦成親王さまが東宮に決まったと急ぎ彰子さまに報告する道長さま。
彰子さまガチギレ。
帝が敦康親王さまを東宮にしたいと考えていることを理解し尊重していた上に、
彰子さまは敦康親王さまも敦成親王さまも我が子として育てたので、
自分で生んだ敦成親王さまだけが大切ということではないのです。
後妻として完璧です。
お父さまはもう永久に許してもらえなさそうです。
未来の帝を得る引き換えに娘を失った道長さま…次女に続いて長女も大変です。
彰子が「怨み奉られた」と道長に反発した記録は『権記』に記されています。
『権記』には、彰子に反対されることを予想して、
次の東宮が敦成親王に決まるまでわざと隠していたとも記録されているようです。
帝に会いに来た居貞親王さまは裾(きょ)を、折り畳みスタイルが基本のこの大河で
めずらしく長く伸ばして歩いています。
花嫁さんのベールみたいに端を持つお付きの人がいました。
裾は偉い人ほど長く、1212年には大臣1丈(約3m)、大納言9尺、中納言8尺、参議7尺と決まっていたらしいです。
今回は帝のそばに置かれている三種の神器の箱が、度々画面の隅に写っていました。
写るたびに、ああいよいよ…という感がしました(泣)
ついに病床の一条天皇のもとから三種の神器が運び出されます。
この大河始まって以来のまともな譲位です。
前は暗殺とだまし討ちでしたからね…
そしてついに大河史上最も美しいとXの英知に評された一条帝が崩御します。
出家して髪の毛なくても美しい帝!
息も絶え絶えに詠む辞世の歌がこちらでした。
露の身の風の宿りに君を置きて塵を出でぬること…
大河では最後の5音が詠まれませんでした。
この辞世の歌は文献によって少しずつ言葉が異なって伝わる歌なのです。
現代語訳はテキトウですが、違いを出したいと思って書いてみました。
『御堂関白記』(道長の日記)には
露の身の草の宿りに君をおきて塵をいでぬることをこそ思へ
頼りない草の上に結んだ露のような私は、草を結んだ粗末な家のような現世(うつしよ)に君を残して、
埃まみれの現世から清らかな常世(とこよ)に旅立ってしまうことを心残りに思ってしまう。
(草の宿りとは粗末な住居や果ては野宿のことをいうので、
とりあえず立派な皇居に自分は住んでいて、
民の苦しい生活に心を寄せていた帝がそれ言う?感があります)
『権記』(行成の日記)には
露の身の風の宿りに君を置きて塵を出でぬることぞ悲しき
露のように儚い身の私は、さまざまを吹き散らしてしまう風のすみかのような現世に君を残して、
埃まみれの現世から吹き散らされて常世に旅立ってしまうことが恨めしいほど悲しい。
(「風の宿り」は古今和歌集にある「花散らす風のやどりは誰か知る我に教へよ行きて恨みむ」から来ている?)
『栄花物語』(赤染衛門がまとめたと言われる歴史物語)には
露の身の仮の宿りに君を置きて家を出でぬることぞ悲しき
露のように儚い身の私が仮初めの現世に君を残して出て行くことが悲しい。
『新古今和歌集 巻第八 哀傷歌』には
秋風の露のやどりに君をおきて塵をいでぬることぞかなしき
秋風に散らされてしまう儚い露のような現世に泣き濡れる君を残したままで、
埃まみれの現世から清らかな常世に旅立ってしまうことが悲しい。
(一条帝が亡くなったのは旧暦の6月22日、新暦でも7月25日らしいので「秋?」という感じではあります)
まず、帝が詠んだホンモノはどれだ?というのもありますが
(完全に勘ですが個人的には行成さんが権記に書き残した歌かなと思いました)、
「君」が彰子と定子どちらを指すのかも2説あります。
定子宛だとすると、定子が自らを「草葉の露」とした
辞世(煙とも雲ともならぬ身なりとも草葉の露をそれとながめよ)への返歌だったとなります。
当時、定子のように出産時に命を落とした女性は成仏できないと考えられていたようです。
「成仏していない君を置いて自分がひとり成仏してしまうのが悲しい」という意味になります。
大河では、歌自体は定子説の権記版を採用し、ドラマの演出は彰子へ宛てたようにした上で、
行成さんが、一条帝に最愛の定子さまの忘れ形見である敦康親王さまを東宮にすることを諦めさせた罪悪感から
より帝の歌が定子宛に聞こえやすくなり、そのように日記(のちの『権記』)に記述させた流れが巧みだったとXの英知。
歌の解釈について2説とは違う見方を語るXの英知もいました。
初恋であり最愛の人にかつて先立たれた帝が、
その時の自分と、自分に先立たれひとり残される彰子を重ねて詠んだのがあの辞世の歌だというものや、
「君」はそもそも定子でも彰子でもなくて、民や子の敦康親王ではというものもありました。
本当に困るほどいろいろな解釈ができる歌です。
一条帝の25年もの長い在位期間、そして幼くして即位した人生が、
本心を簡単に読み解かれては困るほど難しい立場が続く日々だったことを物語っているようです。
あれだけ色々ひどいことをしたものの一条帝崩御を日記に書く道長さまの目にも涙。
大河ではさすがに再現されませんでしたが、
自筆の御堂関白記原本では、崩御の「崩」を「萌」と書き間違えているらしいです(笑)
かたや賢子ちゃん(ダジャレではありません)。
付き添う乙丸さんの髪がすっかり白くなっておじいちゃんになっています。
往来で果物をひったくられて盗人を追い詰めますが、
気づけばそこは人の目が届かない路地裏で怪しい男たちがぞろぞろ…
危ない!というところに颯爽と現れた双寿丸さんという若者に助けられます。
平為賢に仕える下っ端武者でした。
近づく武士の世です。
平為賢は、後に刀伊の入寇で藤原隆家と共に活躍します。
Xの英知が言うように、この大河で刀伊の入寇が描かれるのは確定なのでしょうか?
2024年10月27日
第39回
彰子さまが2人目の皇子を出産しました。
その「産養(うぶやしない)」で、道長さまと頼通さまがさいころの出た目を競います。
道長さまが勝つとめでたいということで、
「よき目を出したい」と言った道長さまが見事「5」の目を出し、「1」の目を出した頼通さまに勝ちます。
…しかし、このシーンは撮影で道長さまが負け続け、20回くらい撮り直したそうです。
頼通さまがいきなり6を出すなど、「「逆にすごいな…って。途中でみんな笑えてきちゃった」と
斉信さん役の金田哲さんが言ったそうです。
どう振ったって勝つ目が出るインチキさいころじゃなかったんですね(笑)
やっと道長さまが勝った時の、公卿たちの「おお…!」という祝う声は演技ではなかったのです。
道長さまから賢子ちゃんへの裳着の祝いに、唐衣に使う立派な織物の反物と、お酒と米とお菓子が届きました。
中宮さまがお召しになるような立派な織物だと一家皆が喜び、
惟規くんが「やっぱり自分の子はかわいいんだな」と言うと、
為時パパが賢子ちゃんの出生の秘密を今まで知らなかったことが判明!
宣孝さんはすべてを知りながら賢子ちゃんをかわいがって亡くなった、
道長さまと賢子ちゃん本人はまだ何も知らないという現状をやっと知ります。
「言ってしまってよかったよね?父上にも伝わってようございました」
惟規くん…どんなセリフですかそれ(笑)
道長さまには賢子ちゃんが実の娘だと伝えるべきだとなりましたが、
どう切り出すか困るまひろちゃん一家です。
為時パパは道長さまに呼ばれた宴で、切り出せずに見つめ続けていたたまれなくなり途中退席します。
それをまひろちゃんに伝え、何か言いたいことがあったのか聞いていないかと尋ねる道長さま。
まひろちゃんも切り出せずにその場から逃げ出して終わります。
伝えた方がいいというか、伝えないとダメだって!どうするんでしょうね!
道長に宴に呼ばれた為時が途中で帰ってしまったというエピソードは実話で、
そして紫式部に文句を言ったのも実話です(紫式部日記)。
途中退席の理由は分かりません。
前は次の東宮さまの話をするのも、
今の帝の退位とつながってしまうからダメと言っていたのに、
ついに「俺の目の黒いうちに、敦成様が帝とおなりあそばすお姿を見たいものだ」
と言っちゃうようになった道長さま。
伊周さんはついに亡くなります。
時々目頭と鼻と口に血がにじんでいたのは気のせいじゃないですよね?
恨みで血の涙を流して…ということですね?
あからさまになりすぎるからか、
顔の左から写って右が影になるときは右側に血があって、右が写るときはありません。
Xの英知たちでそのことに触れている人を見つけられなかったのですが…
呪詛をやめてぐったり寝ていると改めてイケメンだったと思い出すとはXの英知。
『大鏡』には伊周が危篤となり、家族は祈祷僧を呼ぼうとしたが誰も来てくれず困り果てて、
伊周の嫡男・道雅が土御門邸に赴いて事情を説明すると、
道長はすぐに祈祷僧を派遣してくれたと記述があるそうです。
伊周が道長の政敵すぎてお坊さんたちも怖くて行けなかったのでしょうか。
逆に道長に行けと命じられたなら安心して行けたのでしょうか。
隆家はこの後30年以上長生きして、
中関白家の血脈を大正から昭和の貴族院子爵議員だった水無瀬忠政まで繋いだようです。
これは末裔のうち公の有名な活動をした記録が残る一番最後の人が水無瀬忠政だということなので、
そのさらに子孫の方々は現在もいらっしゃるかもしれませんね。
彰子さまがまひろちゃんから学んでいた漢籍は、白居易の新楽府「百錬鏡」だそうです。
新楽府と言えば、かつて惟規くんがまひろちゃんにせがまれて借りてきてくれました。
太宗、常に人を以て鏡と為し、
古(いにしえ)を鑑み、今を鑑みて容(かたち)を鑑みず。
四?の安危をば、掌(たなごころ)の内に照らし、
百王の理乱をば、心中に懸けたり。
乃(すなわ)ち知る、天子、別に鏡有り、
是れ揚州の百錬の銅にならずと。
太宗皇帝は常日ごろ、「朕は人を鏡とする。鏡は古今の興亡を映すが、鏡に朕の姿は映さない」と仰せになり、
鏡によって天下の平安や危機を掌中に把握され、
歴代帝王の治政の安定や乱れを心にかけておられた。
してみれば、天子には特別の鏡があるのであって、
それは揚州から献上された百錬の銅鏡などではないことが分かる。
そこへ彰子さまの妹・妍子さまがやってきます。
お姉ちゃんの彰子さまに、私たちは「親の政治の道具」と愚痴る妍子さま。
単に愚痴りたかっただけなので、
まひろちゃんに「そのようなお言葉はご自身をおとしめられるばかり」と正論を言われて面白くありません。
成長著しい敦康さま(と大河では言うらしいです)。
衣装デザインとみずらの髪型は一緒でも、中の人が今回から違います。
彰子さまのお手を取ると、何か今にも間違いが起こりそうなヤバい雰囲気に。
先に手を取ったのは彰子さまなので濡れ衣なのに、間が悪いタイミングで道長さまがやってきます。
藤壺の中宮と光源氏そのものです(笑)
それを受けて今回のまひろちゃんの局では、道長さまが来るなり御簾をシャーッと下ろしてクレームを入れます(笑)
あんなけしからん物語があるから子供(敦康さま)が真似をするんだ!と言い出す道長PTA会長が出たとXの英知。
そんなことあるわけないでしょうと、クレームは適当に受け流すまひろちゃんでした。
そして惟規くんが従五位下にご出世し、束帯の色が緑から赤に変わります。
惟規くんの出世を信じて、いとさんは赤い束帯を前もって用意していました。
親子そろって道長さまに挨拶に行く為時パパと惟規くん。
突然まひろちゃんのことを末永く託す惟規くん。
ちょっと笑う道長さま。
道長さまの勧めでまひろちゃんの局を親子で見物に行きます。
そして賢子ちゃんの裳着で、叔父にあたる惟規くんが腰結いを務めます。
賢子ちゃんと相変わらずのまひろちゃんを「きっとみんな上手くいくよ」と励まします。
大盛りの惟規くんエピソード。
それは惟規くんが今回で退場だからです…
惟規くんは斎院の中将との失恋の傷心旅行を兼ねて、
越後に赴任する為時パパの見送りに付き添う道中で急病となり、
任地には着いたもののそのまま危篤となります。
最期まで賢子ちゃんのことを道長さまにと心配し、
辞世の歌の最後の1字を書けないで亡くなります。
都にも 恋ひしき人の多かれば なほこのたびは いかむとぞ思ふ
都には恋しい人がたくさんいるので、この旅からは生きて帰りたい。
たびに「旅」と「度」がかかり、いかむに「行かむ」と「生かむ」が掛かった技巧派の歌です。
お姉ちゃんのせいで霞みがちですが、惟規くんも一流の歌人だったのです。
この辞世の歌も『後拾遺集』巻十三恋三に納められているそうです。
恋が入っているために、斎院の中将に宛てて詠まれたという詞書が添えられて
恋の歌としてまとめられているのでしょうけれど、
恋しき人には妻子(大河には出てきませんでしたが、いました)や、
父や姉のような家族や、いとさんのような使用人も含まれているのでしょう。
最後の「ふ」を書けずに息絶えたため、父為時が書き足したと言われています。
為時は「おそらくこのように書きたかったのでは」と書き足した上で、
形見として惟規の辞世の歌が書かれた紙を持ち続けたものの、
見るたびに紙を涙で濡らしてしまって、いつしか失われてしまったという逸話があるそうです。
惟規の辞世の歌には、桐壺更衣の辞世の歌と同じ言い回しがあると言うXの英知。
かぎりとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり
これが私の命の限りなのであなたとお別れをして、
ひとり死出の道を歩んで行かなければならないことが悲しいです。
私が歩んで行きたいのは、あなたと共に生きて行く命ある道なのです。
ですね。
「いかまほしき」の「いく」は「行く」と「生く」の掛け言葉です。
姉弟で同じ言い回しを使っているのは偶然ではなくて、狙ったわざとでしょうね。
弟がお姉ちゃんの有名な物語に出てくる歌をオマージュしたのか、
弟の辞世の歌をお姉ちゃんが自分の物語の中に失われないように書き留めたのか、
どちらだったのか想像が膨らみます。
大河ではとっくに「桐壺」は書きあがっているのですが、現実にはどの巻から書かれたか分からないのです。
訃報が届いたまひろちゃん一家の悲しみの深さは言うまでもありません。
みんな泣いています。
この同じ39回の初めであんなに喜んでいたのに、いとさんは天国から地獄です。
いとさんは自分の子(惟規くんの乳兄弟)を早くに亡くしているらしく、
惟規くんを我が子のように大切に育てたのです。
賢子ちゃんが号泣する母・まひろちゃんに寄り添います。
2人の仲はいずれ良くなると言った惟規くんの言葉が、
その惟規くんが亡くなったことがきっかけになるかもしれません。
賢子ちゃんには高い壁のようだったお母さんが、
初めてひとりの弱い普通の人間に見えたのでしょうか。
子供の頃から明るくて、ふがいなくも家族思いで愛されキャラ、
まひろちゃんもその前では屈託なく笑えた、家族の潤滑油…
Xの英知たちも惟規くんロスです。
宣孝さん亡き今、惟規くんまでいなくなったら
この家はコミュニケーション力に問題がある者しか残らなくなっちゃう、
と心配するXの英知もいました。
25日に光る君への撮影はすべて終わったそうです。
最終回は12月15日だそうです。
2024年10月26日
第38回
ききょうさんが最強防具・定子さまの形見の表着を着て内裏に攻め込んできました!
果たして源氏の物語の感想を何と言わせるか…
次回予告の時から(視聴者みんな?)楽しみでした。
物語そのものは「引き込まれました!」と好評価で、
良いものは良いと褒めたことが清少納言推しのXの英知たちからも好評でした。
ききょうさんの「まひろちゃんは根暗」発言攻撃は、
まひろちゃんにとってはむしろ物語を書くための自分の持ち味(長所)と考えていたのでノーダメージでした。
ノーダメージだったため、まひろちゃんはただ友達のききょうさんが遊びに来てくれたのが嬉しく
「ききょうさまのような方が藤壺にいらっしゃれば華やかになりますのに」と言いますが、
「それはお断りいたします」ときっぱり断られます。
定子を失った清少納言が、再び内裏に再就職しようとしたことがあったかは研究者の間で意見が分かれているそうです。
大河では再就職希望派の萩谷朴の説ではなくて、池田亀鑑や津島知明さんの説を採用したようだとXの英知。
ききょうさんの攻撃は続きます。
皇后定子さまへの思いをどれほど込めて枕草子を書いたのか、
しかも(大河では)まひろちゃんの言葉が書くきっかけだったと伝えてもいたのに、
さらに定子さまが出家する衝撃の現場には一緒に忍び込んで立ち会ったのに、
いつまででも楽しく話し込める唯一無二の文学の知識と才能を持った友達だと思っていたのに、
左大臣がいかに非道で危険な人間で距離を取るべきかも伝えておいたのに、
愚かにも左大臣に使われて、書いた物語を政治利用に使われて、
帝を中宮彰子へと心変わりさせて(帝は心変わりしてないんですけれど)、
裏切りだとも、自分が才を認めていた人がこんなに愚かだったのかとも、
胸に渦巻くいろいろな思いがこもった
「私は腹を立てておりますのよまひろ様に。「源氏の物語」を恨んでおりますの」でした。
道長さまに頼まれたから書いたのは図星でしたが、
「帝の御心を捉えるような物語を書きたいと思いました」
とだけ答えるまひろちゃん。
大河の作中ではまひろちゃんが枕草子を読む場面がありましたが、
実際『源氏物語』には『枕草子』に重なる描写があります。
「野分」で紫の上の美しさ「春のあけぼのの霞の間よりおもしろき樺桜の咲き乱れたる」と書いています。
紫式部は、春のあけぼのが美しいってみんな好きでしょ?ちゃんと書きますよ。
というつもりだったのでしょうか。
六条院の春夏秋冬の町、というのが「春はあけぼの」とも重なりますね。
「春はあけぼの」は紫の上、「夏は夜」は蛍の光を放たれた玉鬘です。
やっぱり秋好中宮の「秋」とは夕暮れなんですね!
昔ビーズドールを作った時にそういうことにしておいてよかったと今また思いました。
一方のききょうさんは「わたしはいかなる世になろうとも、皇后定子さまの灯火を守り続けてまいります。
わたしの命はそのためにあると思っておりますので」
と言い切って去ります。
源氏物語に対抗してもっと面白いものを書いて見せると言い返せないのが切ないです。
作家としての清少納言は枕草子を出力した時点で終わってしまったとXの英知。
定子さまとの思い出を書き切ったききょうさんの人生には、もうその思い出を超える出来事が起こらないのです…
土御門邸では百舌彦さんが、道長さま・彰子さま・敦成親王さまへの呪詛の札を発見します。
呪詛の犯人は伊周さんの親戚でした(史実)
伊周さんも親戚の巻き添えで罰を受けます。
しかし…時代考証の倉本一宏先生は「ここに伊周の政治生命は、完全に絶たれてしまったことになるが、
当の伊周も含め、事件の関与者が皆、翌年までには赦免されていることは、
この事件の本質を語っていると言えよう。呪詛の事実自体も、怪しいものである」と、
敦康親王の後見を務める伊周を失脚させて親王を後継者から外すために、
道長が事件を捏造した可能性があると言っているそうです。
内裏で月を見上げるまひろちゃんへの先輩女房・宮の宣旨さんの声掛けをXの英知たちが絶賛していました。
部下のまひろちゃんがよく物憂げに月を見上げることを知っている観察力、
わずかな会話から、仕事で頭がいっぱいすぎて娘の賢子ちゃんともうまくいってないだろうと見抜く洞察力、
帝や中宮に尽くすと考えすぎる必要はない、
自分と家族の暮らしのために頑張るんでしょう(と思っていた方が賢子ちゃんにも愛情が伝わるだろう)、
「夫婦であっても親子であっても、まことに分かりあうことはできぬのではなかろうか」と寄り添う共感力の人だと、
初登場からだいぶ経つ今回になって、ついに魅力が明らかになりました。
株爆上がりです。
きっと今回、宮の宣旨さん推しが大勢生まれたことでしょう。
醍醐天皇の血筋にあたる高貴な生まれながら宮仕えの身で、苦労を知っているのでしょう。
思えばこんなに素敵な人でも開けなかった彰子さまの心の扉だったのですね。
呪詛が表沙汰になって罰せられた後も、
伊周さんのライフワークにして日課で、相変わらず成果の上がらない呪詛は続きます。
うわー!ついに木でできてる人形かじっちゃった!!!
前歯折れるよーーー!
「呪詛人形をうなぎパイに変えてあげて欲しい」とXの英知。
「やっぱり伊周たぶん呪詛の基本が間違ってるんだと思う。
感情入っちゃってマニュアル通りできてないから効かないんだと思う。
晴明も明子女王も誰も人形噛んだりしてなかったもん。
今回も効かないと確信した。木材の無駄遣い。再生紙にしたい」と別のXの英知。
口に持っていく途中までは木の板のようでしたが、
さすがに咥えて噛み折るところでオブラートのようなつやつやしたものに包んだ薄い何か(正体を知りたいです)に
差し替えられていたので、三浦翔平さんの歯は無事です。
やめられないとまらない呪詛クッキーを量産して売ろう!とXの英知。
嫡男・頼家さまを呼んで政治家の心得を説く道長さまは、いよいよ兼家パパにそっくり。
「家」のためではなく「民」のためだからパパやお兄ちゃんとは違うつもりでしょうか。
昔は「帝は誰であっても臣下がしっかり支えいれば政は揺らがないよ」と言っていたのが、
「俺たちは充分しっかりしてるんだから何でも言うこと聞く都合の良い帝にすることで政を盤石にするよ」に、
いつの間にかすり替わってる怖さを指摘するXの英知。
「政治を第一に考えている我々が行うことが必ず正しく、
自分の利益を優先する者は排除されなければならない。
またそのような者に影響を与えられる可能性がある帝も排除されなければならない」と、
道長さまの論理を読み取る別のXの英知。
すべてはまひろちゃんとの約束のためなのか、
それともあれほどおっとりしていた三郎ですら変わってしまうほど、権力欲とは飲まれるものなのでしょうか…
公任さんと斉信さんが権大納言に、行成さんが権中納言にご出世します。
すでに権中納言の源俊賢さんを加えて「これが後世に言うところの一条朝の四納言である」とナレーション。
「これが!ホントの4人組だったのに、序盤で平安F4が盛り上がってしまって…(笑)」とXの英知。
平安F4とは藤原道長+「一条朝の四納言」−源俊賢でした(笑)
賢子ちゃんにとっての左大臣さまは、母まひろちゃんに執筆用の「紙をくださってた方?」。
まだ自分の出生の秘密を知らないようです。
『神作家・紫式部のありえない日々』という漫画に、
「道長さまのことは紙をくれる機械かなんかだと思って」というセリフがあるらしいのを踏まえているのではとXの英知。
道長さまと倫子さまの会話はヤバかったです。
嫡男・頼家さまの結婚について「妻は己の気持ちで決めるものではない(政略だ)」と言ったところ、
倫子さまに「殿も、そういうお心でうちに婿入りされましたの?」と返され、
まさかの「そうだ」!!!
本音を明かせるのはそれ程に心を許してるということかもしれないけれど、
倫子さまがその辺の普通の女だったら家を追い出されるとXの英知(笑)
しかし今や海千山千の道長さまは
「やる気のなかった末っ子の俺が今日あるはそなたのお陰」と倫子さまに感謝を伝えて許させてしまったのです!
まひろちゃんの局にちょくちょく来る道長さま。
もうただ雑談に来ているだけです。
話しの流れで賢子ちゃんの裳着に何かひとつ贈り物をしてほしいと(実の父に当たる)道長さまに頼むまひろちゃんでした。
まひろちゃんがそういうことを頼んでくることなんてないのに、
レアな匂わせに気が付いているのか分からない道長さま。えー。
道長さまは、藤壺に人気者の女房が欲しいと言いつつ
「あ、おまえに人気がないという訳ではないぞ」とまひろちゃんをフォロー。
「私は私の物語に人気があればよろしいのです」と特に気にしないまひろちゃんに答えた「うん、そうだな」は、
俺のまひろの良さは俺だけが知っていればいい、他の奴に知られてなるものかという顔でした。
まひろちゃんの推薦であかねさん(和泉式部)が藤壺にやってきます。
あかねさんは和泉式部日記を書きあげていて、まひろちゃんに見せに来ました。
呪詛返し?でヨレヨレの伊周さんの
「敦康様は私がおまもりいたしますゆえ、どうかご安心くださいませ」のひどさ(汗)
全く安心できません(笑)
ついに伊周さんは親戚による呪詛の証拠とされたものと同じ呪詛の札を持って、
土御門邸の道長さまのところに乗り込みました。
この時の三浦さんの全身全霊の演技がすごかったです。
正気を失い目の焦点が定まらず、黒目の向きがバラバラ!
伊周さんは札をまき散らしていつもの呪詛の呪文を道長さまの顔を見ながら言い放ちます!!
最愛の人に求めた政権のトップとは、
命を狙われるほど恨まれることだと目の当たりにして涙ぐむまひろちゃんでした。
三浦さんが10月5日のトークショーで語ったという話のまとめです。
「やつるぎや…」は本物の呪詛の文言とは変えてあるとのこと。
三浦さんが呪詛を全部暗記してきたら
陰陽道監修の先生に「返ってくるから」と止められたそうです。
それでも撮影の終盤は風邪をひいたり怪我をしたり具合が悪かったそうで、
先生に塩でお清めしてもらい、
終わってすぐ道長とゆかりがない所にお祓いに行ったそうです。
俳優としては楽しいが、人間としては疲れたそうです。
セットの関係で呪詛まとめ撮りの「呪詛デー」もあったそうです。
ききょうさん役のウイカさんが撮影のためスタジオ入りした時、
ばったり会った三浦さんに「あら撮影ですか?」と声をかけたら「うん呪詛」と答えたそうなのですが、
その日だったのでしょうか…(笑)
翌日放送されたこの第38回は三浦さんの言葉通り「呪詛祭り」で「呪詛MAX」でした。
あの目の演技のことなのか、目ん玉飛び出るかとも思ったそうです。
伊周以外にどの役をやりたいか?という質問には
「朕って言いたいから一条天皇」
「でもちゃんと陰陽道をやりたいから安倍晴明」と答えたそうです(笑)
来週の大河は衆議院選挙の開票速報で放送お休みかと思ったら、
まさかの前倒し夜7時10分始まりだそうです。
これ以上休んだら最終回に物語が終わらないのでしょうね。
みなさまお見逃しなく!
2024年10月18日
第37回。
彰子さまが帝にお土産として源氏物語の豪華本を作ることになりました。
本の綴じ方は、しばらく前の「すてきにハンドメイド」で
実資さん役のロバート秋山さんが挑戦されていた「列帖装(れつじょうそう)」でした。
私達が和綴じ本と聞くと思い浮かべがちな「四つ目綴じ」ではなく、
紙を数枚重ねて折り目部分を糸で綴じ、これを複数揃えて重ね合わせてさらに糸で綴じます。
ノートのように平らに開くことができるのが特徴です。
前回中宮さまと若宮さまを呪詛する人形に結ばれていたような赤い糸が、今回は本を綴じましたねえ…
それにしても行成たち能書家(実際は根本さん)の美しい文字が書かれた、
美しい金銀箔の散りばめられた高級な紙なんて触れるだけでもプレッシャーです。
ひとつひとつの作業が失敗できない!
女房を演じる俳優さんの手も震えていました…わかります。
こんな美しい紙で文をもらいたいと言った宮の宣旨の乙女心もわかります。
女房達、絶句するなんてひどいじゃないですか!いいじゃないですか!
作られた豪華本は、大河の物語の中の現時点で発表されている33帖分でした。
第三十三帖「藤裏葉」は明石の姫君の入内が決まり、
四十の賀を控えた光源氏が准太上天皇になり、光源氏が人生の絶頂期を迎える内容です。
ここで終われば大団円なのですが…続編制作発表来ました。
女三宮が襲来する「若菜」以降ですね…
土御門邸から内裏に戻る前に、実家に顔を出すことにしたまひろちゃん。
史実的には紫式部の生家(堤中納言邸)は古いながらもそれなりに立派なお屋敷で、
為時の収入も案外あって「貧しい」というほどではなかったと言われているようです。
内裏に比べたら、みすぼらしいのは当たり前です。
まひろちゃん…賢子ちゃんの顔を見てすぐに
「賢子!会いたかったわ♪」の一言が出なかったのはまずかったですよね…
たぶん賢子ちゃんはまひろちゃんに渡そうとして摘んできた水仙だったんでしょうけど、いとさんにあげちゃうし。
お母さんを殺された後のまひろちゃんと為時パパの仲に似て、賢子ちゃんとは微妙な関係です。
普段のストレスからついつい飲み過ぎて、
内裏のみやげ話と愚痴が止まらず朝までしゃべりつくす勢いのまひろちゃんに困る家族たち。
Xの英知によると、大河のにごり酒の撮影素材はカルピスらしいです。
この場面をXの英知たちは、
大学で東京に行って大手企業に就職して初めて地元に帰ってきた地方女性の里帰りのようだとも、
出張中に子供から距離を取られてコミュニケーションの仕方が分からなくなる親のようだとも言っていました。
家でも早速執筆の続きを始めるまひろちゃん。
賢子ちゃんは自分の話や、まひろちゃんが留守中に家で起きたことを
聞いてほしかったのかもしれませんが、できずじまいです。
近寄れずに遠くから見つめる賢子ちゃんに、まひろちゃんは気が付きません。
まひろちゃんは早くに母を亡くしているので、母が居なくても子は平気で育つと経験で知っちゃってるし、
おじじさまも、いとさんたちもいるから心配していないんですよね。
1番胸が熱くなったのは自分を産んだ時ではなくて、人(中宮さま)の出産見てる時なんだ…
自分は何なんだろう…と、寂しさと怒りをこじらせたかもしれません。
(自分の出産の最中に胸が熱くなれるほどの余裕がある女性はいるだろうか?とは、
まひろちゃんの肩を持ちますが…)
次の日早くも彰子さまに呼び戻されるまひろちゃんに、賢子ちゃんの怒りは爆発。
母上はあちらの暮らしの方が楽しいのでしょう!?
自慢のために帰ってきたのか、母上が嫡妻じゃないからこの家は貧しい!
母上なんか大嫌い!と、飛び出して行って、
生意気の盛りか、言ってはいけないことを言ってしまった後悔か、
本当に顔をも見たくないほど嫌いなのか外で泣き出します。
お母さんが嫡妻になれなかったのは大好きなおじじさまが官職を得られないせいだよ、
おじじさま隣にいるよ、
お母さんはむしろ一生懸命家を盛り立てているよとXの英知たち。
一方、土御門邸でも前の晩のうちに、まひろいない!まひろまひろまひろ!と道長さまが大爆発。
それを見た赤染衛門さんは、倫子さまが傷つくから匂わすなと釘をさすべきは、
まひろちゃんではなくてこっちだった(できないけど)と察したことでしょう(汗)
内裏に戻ればすぐに深夜の追いはぎ事件が起きます。
襲われたのは下っ端の下臈女房たちでしょうか。
駆け付けたまひろちゃんは史実では、兵部丞蔵人を呼びよせようとします。
その兵部丞蔵人とは弟の惟規くんのことでしたが、何と役立たずなことに退勤して居なかったそうです。
せっかく弟に手柄を立てさせようとしたのに!
「こういう時に頼りにならんのだからあの弟は!」と紫式部は日記に愚痴を書き残します。
事件を聞いて彰子さまのお見舞いに来た道長さま。
次いでまひろちゃんを見舞い、
「俺のまひろ心配したぞおおおおお無事でよかったああああああ(ガバ」(byXの英知)
はギリギリこらえたものの、
次の東宮は彰子さまが生んだ敦成親王とうっかりまひろちゃんに秘密の計画を明かしてしまいます。
まひろちゃんはびっくり。
それは左大臣・道長が、定子の子であり彰子もかわいがっている敦康親王を、
自分の孫である敦成親王の立太子の障害になる政敵であると言ったも同然です…
娘を入内させて生まれた皇子を東宮にする、というのは父・兼家がやってたことで、
父のようにはならないとさんざん言ってた道長さまでしたが、気づいたら同じ道を辿っているのです。
そしてききょうさんが定子さまの表着を着て、伊周さんに頼んで取り寄せた源氏物語読んでる!
キャー!!!
第37回はここまで。
次回予告ではききょうさんとまひろちゃんが宮中で対面?
みんなが聞きたいききょうさんの感想来るんですねーーー!!!でした。
大河感想、内容の密度が上がっているせいかますます遅れがちになっていますが、
あきらめずに最後まで完走したい!
と言うわけで1週分だけでもアップしていきます。
実資さんを演じるロバート秋山さんって、
役のイメージとして最近総理になった石破さんを意識してそうな気がしてならないと最近見てて思います。
周りに流されずに独自路線を貫くイメージが強かったですからね…
もう10月ですから、大河の、特に実資さんの登場回は撮り終えているんでしょうか?
実資さんにはぜひ昔のイメージの石破さんのままで突き進んで最終回を迎えてほしいです(笑)
2024年10月5日
第35回。
金峯山(きんぷせん)登頂アタックに挑む道長さまご一行。
いかにも山登りな力強い感じ音楽が流れる中、岩登りで源俊賢さんがあわや滑落!
とっさに道長さまの嫡男・頼道さまが俊賢さんの手を握り、ファイト一発!!
この2人でリポビタンのCMに出そうだとXの英知。
けれどもこの時代下着を脱がされるより恥ずかしいとされた、
冠の脱げた姿を公共の電波に乗せられる俊賢さん…
冠が脱げて丸出しになった俊賢さんの髷にモザイク(!)を掛けたイラストを
アップするXの英知がいらっしゃいました(笑)
道長が金峯山の山頂に納めた金銅製の経筒は現存し、
日本最古の経筒として国宝に指定されているそうです。
外側の500字あまりの願文の原文は、美文字の書き手・藤原行成が書いたという説もあるそうです。
それにしても山本山の海苔の缶みたいな形だとXの英知(笑)
中に入っていた道長自筆の経典は今年の春に国宝に指定されたばかりで、
番組終わりの光る君へ紀行でも取り上げられました。
金峯山寺の所蔵ではありますが、京都国立博物館に寄託されていて今年の夏にも展示されたそうです。
そしてこれまた絶対大河の創作だと思った(笑)伊周さんによる御嶽詣中の道長さま暗殺計画。
『小右記』に噂として記されているそうです。
まひろちゃん弟・惟規くんと斎院の中将の禁じられた恋!
禁じられた恋なのになんで相手の名前を後の時代に隠し切れなかったかと言うと、
『紫式部日記』に、斎院の中将が「ある人」に宛てて書いた手紙を紫式部が見ているとあることから、
惟規が通っていたのは斎院の中将ではないかと推定されているからだそうです。
惟規くんが護衛につかまった時に詠んだ
神垣は木の丸殿にあらねども名乗りをせねば人咎めけり
斎院の神垣は斉明天皇の木の丸殿ではないが、名乗りをしなかったので人に咎められてしまった。
は、斉明天皇の故事(木の丸殿に入る者に名乗らせた)を踏まえたインテリな歌だそうで
『今昔物語集』に記されます。
まひろちゃんの「そういうことをやっていると、罰が当たって早死にするわよ、
あなたも、あなたの思い人も」は死亡フラグです…
この時点(西暦1007年秋)から約3年半後(西暦1011年正月)に惟規は死因不明で亡くなります。
この弟の不祥事を元ネタに、
源氏物語では光源氏が男子禁制の京の野宮神社まで六条御息所に会いに行く話が書かれたのでは、
という大河の展開です。
無事都に帰ってきた道長さまは、
まひろちゃんに「お帰りなさいませ」と言われてようやく
長旅の緊張から解かれたような顔をしたので、Xの英知が咎めていました(笑)
疲れていても書き終わったばかりの「若紫」を早速読む道長さま。
「小鳥を追いかけていた頃のお前は、このように健気ではなかったが…」
まひろちゃんと2人きりで、すっかり仲良さそうです。
しかし!ここで爆弾投下。
藤壺の不義の話をどういうつもりで書いたか聞けば、
我が身に起きたこと全てが物語の種と言うまひろちゃん。
まひろちゃんの不義の相手が自分の知らない男で、
しかもその子を産んだ!ガーン!と思った様子の道長さま(笑)
…相手はあなたです。
まさか賢子ちゃんを膝に座らせておいて知らなかったの?
まひろちゃんの局からの帰り道にやっと気づいて足を止めたのかと言うような様子でした。
このあたりの解釈はXの英知たちの間で割れていて、
宣孝さんの恩着せがましいような含みあり過ぎ報告を受けた時点で
知ってただろうという人もいれば(私も今のところこの解釈です)、
まひろちゃんと道長さまが石山寺で結ばれた頃は、
宣孝さんがまひろちゃんのもとに通っていなかったと道長さまは知らなかっただろうから、
今回廊下で足を止めた時に気づいたという人もいらっしゃいました。
さらに別の解釈では、道長さまはすべて分かっている上で
自分とまひろちゃんの関係は不義であるのか?と聞いているという人もいました。
足を止めたのは、自分の望みのために母と別れて暮らしている我が子・賢子ちゃんのために
父としてできることを探したからだろうとのこと。
色々な解釈を読めるのもSNS時代の恩恵ですねえ…果たして真相は?
あかねさん(和泉式部)は想い人の敦道親王をわずか27歳で失います。
ものをのみ 乱れてぞ思ふたれにかは 今はなげかん むばたまの筋
あなたを失った物思いに乱れる心のままに黒髪も乱れたまま整わないで、
その嘆きを誰に聞いてもらえるのでしょう、聞いてもらいたいあなたはもういないのに。
和泉式部は恋歌だけでなく哀傷歌も数多く残します。
後に娘である小式部内侍にも先立たれ、詠んだ歌のうち3首をご紹介します。
などて君むなしき空に消えにけむあは雪だにもふればふるよに
どうしてあなたは虚しい空に消えてしまったのでしょう。
淡雪でさえも消えずに降ってくるこの世なのに。
とどめおきて誰をあはれと思ふらむ子はまさるらむ子はまさりけり
子供たちと私を置いて死んでしまって、娘はいったいどちらを哀れと思っているでしょうか。
きっと、親である私よりも、子供たちの方を思っているでしょう。
親より子と死に別れる方が、私も辛かったのだから。
もろともに苔の下にはくちずして埋もれぬ名を見るぞかなしき
(上東門院(藤原彰子)から毎年賜る衣に、亡き娘「小式部内侍」宛と書かれているのを見て)
一緒に苔の下に朽ちることなく、私ばかりが生き残ってしまって、
埋もれることのない娘の名を見ることが悲しいのです。
彰子さま=藤壺中宮だと視聴者は思っている人が多いようですが、
本人は若紫に自身を重ねていました。
本当の想い人(定子さま)がいる帝と、藤壺を想う光る君を重ねて、
自分の代わりに若紫だけでも光る君の妻にといじらしく願います。
まひろちゃんは彰子さまが物語の中ではなく現実で願いをかなえられるように背中を押しますが…
タイミングよく藤壺に現れた帝に彰子さまはその場で、
まさかの直球ストレートで「お上!お慕いしております!!」とやらかします。
言った彰子さまも泣いちゃって、帝はびっくりして帰ってしまい決死の告白は大失敗!?
愕然とするまひろちゃん。
Xの英知の表現がさすがでした(笑)
「その息づくお心の内を帝にお伝えなされませ。
っておまっ!
そういう事ちゃうねん!
男女の情を交わす手順は
私源氏物語に何回も書いとったやろ!
読んどったんちゃうんかーーーーい!
とは流石に言えんわーーー
あちゃーーー」
でも結果的にうまくいったので良かったですね。
初めて彰子さまへ渡る帝は、降り始めた雪に足を止めます。
定子さまの棺を雪が降り積もる夜に見送ったのを思い出しているとXの英知。
一条帝の歌が後拾遺集に残っています。
野辺までに心ひとつはかよへども 我がみゆきとは知らずやあるらむ
皇后が眠ることになる地まで、せめて心だけは御幸しよう。
御幸する私の心が降り積もって深雪になったと皇后だけは分かるだろうから。
第36回
彰子さまご懐妊。
「帝を驚かせるために」ないしょで漢籍を勉強したいと言います。
漢籍は男性のものだから女性が学ぶには人目を避けなければならなかったという話を、そのように変えたのですね。
最初に教えていたのは白楽天の新楽府の「七徳舞」のようです。
不独善戦善乗時
以心感人人心帰
皇帝は時運を掴むのが上手かっただけではなく、人に対して真心を尽くしたので人は自然とついて来た。
政の頂点にあるものが人々の心をとらえる難しさついてまひろちゃんが語ります。
もうひとつは同じく新楽府の「太行路」のようです。
人心好悪苦不常
好生毛羽悪生瘡
人の心は変わりやすく、好きな間は羽が生えたようだが(天にも昇るようにウキウキということでしょうか)、
嫌いになれば粗探しを始めるということです。
私もいつか帝に傷を探されるだろうかと不安がる彰子さまに、
まひろちゃんは傷はその人をその人たらしめる宝だと伝えます。
…嫌われたら個性ごと嫌われちゃうんだから、そんなこと言っても慰めにならないと思いますが(汗)
久しぶりのききょうさん、喪服で登場!
まさか皇后さまがお隠れになってからずっと喪服だったのかと思いましたが、
皇后さまのお子が身まかられたからでした。
あああ、帝の心を亡き皇后さまから引き離した人物がまひろちゃんだと知っちゃった…
まひろちゃんも道長さまもすっかり(うっかり)脇が甘くなり、仲を疑われるようになってしまいます。
彰子さまの出産は公式の記録に加えてまひろちゃんも記録します。
後に続く娘たちのためにという道長さまの頼みですが、入内は彰子さまだけにするんじゃなかったの?
いつの間に気が変わったのでしょう…
寛弘5年9月11日(1008年10月12日)、中宮彰子は土御門殿において第一子・敦成親王(後の後一条帝)を出産します。
30時間以上におよぶ難産で、母の源倫子が自ら初孫のへその緒を切ったと伝わるそうです。
伊周さんの道長さまと彰子さま、生まれてくる若宮さまへの呪詛は史実らしいです…
叔母(生母・貴子の妹)・高階光子に依頼して厭符の製作を僧円能に行わせたと伝わるそうです。
もちろん伝わるということはやがてバレて大変なことになるということですね(汗)
まひろちゃんは若宮誕生を祝う歌をしみじみ詠みます。
めずらしき光さしそう盃は もちながらこそ千代もめぐらめ
若宮御誕生の祝宴の盃は満月のように欠けることなく人々の手から手へと千年もめぐり続けるでしょう。
まひろちゃんの言葉では
中宮様という月の光に御子様という新しい光が加わった盃は
今宵の望月のすばらしさそのままに千代もめぐり続けるでありましょう。
これが道長の「望月の歌」の元ネタになったかもしれないといわれる歌です。
道長さまが「よい歌だ、覚えておこう」と言ったのは伏線ですね。
彰子さまは周りの人チョイスのピンクから自分の好きなブルーの装束にイメチェンしました。
自信の表れです。
生まれた敦成親王の五十日の儀の後の宴会で無礼講となった土御門殿。
実資さんが女房の袿の枚数を数えているのは、酔っぱらってセクハラ…ではなくて、
一条帝が出した贅沢禁止を女房が破って決められた枚数以上に着てないか、数えているそうです。
この実資さんを描いた紫式部日記絵巻が五島美術館に所蔵されています。
酔った公任さんが「このあたりに若紫はおいでかな?」と絡んだエピソードは史実ですが、
「ここには、光る君のような殿はおりませぬ。ゆえに、若紫もおりませぬ」と
直接まひろちゃんが反論するのは大河の創作です。
『紫式部日記』では「そう思ったけど直接言うのはあれなので日記に書いた」とだけ記されています。
案の定、不穏な空気になります。
それを見てまひろちゃんを呼びつけ、歌を詠めと命じる道長さま。
これは助け舟ではなくて、
俺のまひろに話しかけている男前の公任さんに焼きもちを焼いて引き離しただけとXの英知(笑)
彰子さまの前に進み出てまひろちゃんは歌を詠みます。
いかにいかが数へやるべき八千歳の あまり久しき 君が御代をば
今日は五十日の祝いですが、これからあまりに長く続く若宮さまの御代を、
いかにしたら数えることができましょうか。
突然立ち上がってまひろちゃんの隣に座り、返歌する道長さま(笑)
あしたづの齢しあらば君が代の 千歳の数もかぞへ取りてむ
私に千年生きるという鶴ほどの齢があったら、若宮の千年の御代も数え取れるだろうよ。
この有り様について、まひろちゃんに即興で歌を詠ませて俺のまひろすごいでしょアピールした挙げ句、
北の方の倫子さまの前でカラオケでデュエットでハモるがごとき暴挙で、無礼講にもほどがあるとXの英知(笑)
別の英知は焼きもちと推し活を同時展開したとも。
なかなかできない組み合わせの同時展開ですね(笑)
手紙すらもらえないと昔愚痴っていた倫子さまが怒って退席。
紫式部日記も、理由は定かではありませんが倫子がこの場で機嫌を損ねて退席するという記述があります。
この場面の台本のト書きには「俺もやるだろ?の顔」とあったらしいです。
吉高由里子さんは「いやチラリじゃないだろって。倫子の前で何やってんの?」とコメントしたそうです。
2024年9月17日
9月1日の夜10時過ぎに雷でこのサイトと姉妹サイトのサーバーが故障しまして…
15日までずっと非表示になっておりました。
姉妹サイトの方はSNSで惨状を報告しておりましたが、
当サイトは伝達手段がありませんので忽然と消滅してました!
周りは高い建物だらけなので普段は雷とは無縁で、こんなことは初めてでした。
ブレーカーが落ちて久しぶりに家の中が真っ暗になりましたよ…
第33回。
宮中に上がったまひろちゃんはついに藤式部と呼ばれるようになります。
まひろちゃんの局は他の女房達より広めで、
執筆のために道長さまチョイスの竹取物語を思わせるモチーフの書道具が揃えられていました。
硯には三日月、筆置きは牛車、
すでに贈ったたくさんの紙が飛ばないように抑える文鎮も三日月の形と兎の形です。
水差しは竹の模様らしいです。
彰子さまと定子さまの忘れ形見の親王さまは仲が良く、
こんな義理のお母さんでは藤壺が藤壺しちゃうとXの英知。
帝に光源氏のモデルを聞かれた時のまひろちゃんの「ないしょにございます」は、
彰子さまが親王さまにおやつをこっそりあげながら「ないしょ」と笑いかけた
かわいらしい口ぶりをまねたものだったのでしょうね。
そうして彰子さまに私はあなたの味方ですよ、とさりげなく伝えているのです。
執筆に集中できないまひろちゃんの帰る発言で泣きそうな道長さま。
最高権力者な感じで強気にダメと言っても、頭を下げて泣きついて頼んでも押し切られます…
内裏を退出する挨拶の時ついに彰子さまがまひろちゃんとしゃべってくれました!
冬と冬の空のような青が好き。
ピンクの着物は好きで着ているのではなくて、お仕着せだったのです…
そして扇!
「本来、檜扇に人物は描かないが、内田ゆき制作統括や中島由貴チーフ演出らたっての希望により、
有識彩色絵師の林美木子氏が今作のために描き下ろした」そうです。
道長さまいつの間に作らせたんでしょう…どんな顔で注文したのか私も気になります。
お抱え絵師に事細かに「場所は河原」「女の子は男の子より幼くて衣装はピンク地で白い蝶の柄」
「女の子の髪には赤いリボンを2つ」「逃がした鳥(ヤマガラ)を飛ばして」と指定して、
絵師は言われるままに(想い人に送るんだな)と思いながら粛々と仕上げたのでしょう(笑)
まひろちゃんの服装を記憶しすぎだとXの英知。
二人にしか分からない出会いの記憶です。
三郎だったあの頃と何も変わらない思いを今もまひろちゃんに…キャー―――!!!
第1回で逃げてしまったまひろちゃんの小鳥でした。
それから度々まひろちゃんの家の場面で空の鳥かごが写されてきましたが、
とうとう第33回で道長さまがプレゼントした扇の絵としてまひろちゃんのもとに帰ってきたのです。
そしてこの後(第34回)『若紫』は書かれ始めるのです。
小鳥を逃がして泣く幼い女の子を誘拐して自分好みに育てる光源氏の話の感想を、
道長さまに直ちに聞きたいです(笑)
時代は平安時代から鎌倉時代に移り行くのです…
河内源氏と伊勢平氏が武威武威し始めた(!)とXの英知。
興福寺の定澄が道長に解任を求めていた国司の源頼親は河内源氏の祖で、頼朝の先祖にあたります。
そこに生まれた新作!超大作!「焼き払い奉る」!!!
何でも奉ればいいと思っているんでしょうか。そんなわけない(笑)
第34回
奈良の興福寺は朝廷に物申す面倒な寺で、
比叡山の延暦寺とともに「南都北嶺」と言われてきたそうです。
南都が奈良の興福寺、北嶺は比叡山の延暦寺を指します。
興福寺は藤原氏の氏寺で、道長にも関係の深いお寺でした。
源氏物語はF4も宮中の女房達もみんな読んでいます。
朗読する女房はおじゃる丸役で知られる西村ちなみさんだそうです。
Xの英知は、おじゃる丸にファーストサマーウイカさんが出た代わりだろうと言っていました。
こともあろうに(?)この場面でみんなに読まれているのは
「意中の人妻・空蝉に逃げられ、人違いでそこにいた軒端の荻に言い寄り、
その間違いをごまかす光源氏」というゲスの極み話なのです…
もはやまひろちゃんの顔を見るためだけに局に来た道長さま。
惟規くんが何をしているのか確認し、こっそり推して出世させてしまいます。
倫子さまは6度目の出産で体調を崩します。
時に満43歳!
当時としては稀に見る超高齢出産とのことですが、現代だってかなりの高齢出産でしょう!
道長さまにとっては、倫子さまと明子さまの間に生まれた累計13人の子のうちの12番目の子です。
このまま大河から退場かと思うところですが、無事に回復するそうですよ。
そんな中で開かれる3月3日上巳の祓・曲水の宴(ごくすいのえん)。
土御門邸の庭園の川に杯を載せたトリちゃん(「ウショウ」と100カメで呼ばれていました)を
流しながら歌を詠む雅なイベントが開催されます。
が…にわか雨で中断になります。
道長さまに近しいいつもの面々が雨宿りする場に、道長さまが現われます。
そこにまひろちゃんもいたことで、一同の話題は源氏物語のことになります。
道長さま配下の四納言で唯一の源氏である源俊賢さんが
「なぜ光る君を源氏にしたのだ」とまひろちゃんに問います。
親王のままだと好き勝手させられないからと答えるまひろちゃんに
俊賢さんは光源氏が父に見えると語り、父は素晴らしき人であったと言います。
俊賢さんの父というのは源高明で、
光源氏のモデルと実際に言われている人物の一人です。
父の無念の死への怒りを封じ、
生きるために藤原氏に従った俊賢の心もまた「物語」によって癒されたとXの英知。
まひろちゃんが「どなたのお顔を思い浮かべられても
それはお読みになる方次第でございます」と言った直後なので、
たとえ斉信さんが「光る君は俺のことかと思っていた」と
ドン引き発言をしてもだれもツッコみません(笑)
帝も光る君を定子さまの忘れ形見の敦康親王のことかと尋ねていて、
とにかく誰もがまひろちゃんの物語を 我が身に引き付け、続きを気にしながら読んでいるのです。
道長さまは光源氏と違い笛を吹けないので、
「少なくとも道長さまではないですね」と、
道長さまを光る君と崇める(!)行成さんに言われてしまいます。
でも、もうすぐ若紫が書かれるのです!
大河の物語の展開としては、そうもはっきり道長さまは違うと言われちゃったからこそ、
2人にしか分からない道長さまエピソードとして若紫を書くのでしょうか(笑)
雨が上がって、宴が再開されます。
彰子さまはまひろちゃんに男心について教えをうけます。
彰子さまがお菓子を一口食べるシーンのまひろちゃんが
「(遠い昔、三郎がくれたお菓子だなと思う)」と台本にあるのを100カメを見ていた英知が発見しました。
それであのあと局に戻って扇を広げて見るという流れになるのかと英知。
この場面、大河の考証を担当する先生がまたしても俳優として紛れ込んでいたらしいです。
芸能考証の友吉鶴心先生がお題を読み上げる人のそばにいたそうで、
オープニングの俳優陣(後半の役名やせりふがない人たち一覧)にも名前がありました。
この先生は伊周さんが参加した漢詩の会にもいたらしいです。
お題に添った見事な漢詩を披露するのは
赤染衛門の夫・大江匡衡(おおえのまさひら)です。
「江吏部集」という作品集に
「七言。三月三日侍左相府曲水宴同賦因流汎酒應教詩一首」と記録されている漢詩のようです。
宴の後、まひろちゃんは若紫の執筆にかかります。
「恋しいあの人のそばでずっと生きていけたらどんな人生だっただろう」の問いから始めたのに、
紫の上の人生が最期まで険しいことを、叶わなかった夢に対してまでも現実的で厳しすぎるとXの英知。
月の君の時に書きましたが、こうなってダメになってしまうまでくよくよ考え抜いてしまうのですね…
御嶽詣とは奈良・吉野の金峯山にお参りに行くことで、険しい道のりを精進潔斎して進みます。
道長さまが白装束と念珠を用意していたように普通は白装束を着ていきます。
かつてまひろちゃんの亡き夫・宣孝さんが黄色いおじさんになって出かけて後利益を得ました。
さらっと登場した道長さまの嫡男・藤原頼道は、後に道長が建てた別荘を平等院鳳凰堂に改築した人です。
異母兄弟に舞で負けて大泣きし、為時先生が優秀だと感心するくらい勉学に励んでいた、
あの田鶴ちゃんがこんなに立派に(泣)
ちょこちょこ書いた100カメの感想も書いておきます!
トリちゃんかわいい。
いやにトリちゃんが画面に映ると34回を見ていて思っていたんですよ!
こんな制作陣の苦労があったとは…それはもうトリちゃんをいっぱい写すしかないですね。
流れに身を任せるように自然に動くトリちゃんを1か月半かけて生み出したタシブさん、
渾身の力作が本番の川の流れの出来の良さのために出番無しかもと残念そうでしたが、
活躍の場があって良かったです!
降り出した雨がぽたぽたと杯に落ちるシーンはあのトリちゃんでないと無理です。
こんな豪華な曲水の宴の場面が初演出になるヒトシさんの引きの強さもすごいです。
2024年9月1日
第31回。
ついに満を持して源氏物語が産声を上げましたーーー!!!!!
もう今日はコレだけでいいような気もしますが…その前に。
藤原実資の愛人の百乃役を務めたのは、
この大河で古文訳考証を担当する学習院大学准教授の千野裕子先生だそうです。
度々俳優として大河ドラマに出演しているそうで、なんと今回で3作目らしいです。
まひろちゃんデビュー作「カササギ語り」を、
娘の彰子中宮を慰めるために書き写して持ち帰りたいと(頼む口実でまひろちゃんの顔を見に)来た道長さま。
でも賢子ちゃんの放火騒動で原稿がなくなってしまい、思い出して書く気力も沸かないとまひろちゃんは断ります。
と、ここで日本史上空前絶後に身分が高い編集者が生まれました!
まひろ先生担当編集・道長さまは新作の執筆をまひろ先生に依頼します。
やはり一度は難しいと断るまひろちゃんですが、
道長さまを脅かすという枕草子の写本をあかねさん(和泉式部)から全巻借りて、
徹夜で読破して必勝法を編み出し、依頼を受けることにしました。
やっぱり力になりたいのです(晴明さんといい、この大河に出てくる道長さま推しはひねくれものだらけです)。
ところであかねさんは登場するたびに歌を1首披露していくキャラなのでしょうか(笑)
今週のお歌は
黒髪の 乱れも知らず うち伏せば まづ掻きやりし 人ぞ恋しき
髪を振り乱して寝ていると
愛しい人がこの髪を指に絡めてそっとかき上げてくれたことを思い出す
でした。
あかねさん的にはなまめかしさがないから枕草子はいまいちだそうです。
枕草子にも恋人を送り出した後の朝の情景を描いた段ならあったと思うのですが…
あれじゃあダメなんでしょうか(汗)
まひろちゃんが弟・惟規くんに私らしさって何?と聞いているシーンでかじっていた煮干し。
食べる用の煮干しと言えばカタクチイワシで、
イワシと言えば一説には紫式部の好物と言われますね。
こんなところで入れてくるとは!
惟規くんのまひろちゃん評は「根が暗くて鬱陶しい」でした。
新作執筆の依頼を受けるにあたり中宮さまに献上するにふさわしい紙を、とのまひろの願いに応えて
道長さまは越前の紙をたくさん届けます。
キタキタキターーーーー!お前が好んだ越前の紙!
「越前には美しい紙があり、私もいつかあんな美しい紙に歌や物語を書いてみたいと申したであろう?」!!
めちゃくちゃ覚えてるよ道長さま!というわけで、ずっと前の回のまひろちゃんのセリフ
「片時も目を離さず、誰よりも愛おしい道長様がこの国を変えていく様を死ぬまで見つめ続けます」的なのも
道長さまは一言一句間違えず覚えていそうだと言うXの英知。
私もそう思います(笑)
「俺の願いを初めて聞いてくれたな」という道長さまの一言にキュンとした英知もいたようです。
報われない系かわいそかわいい左大臣だったのです…
左大臣が訪ねてくることについて、すごいなこの家!とびっくりする、いとさんの良い人福丸さん。
いとさんについていればいいことありそうでしょう!?
いとさんを大切に(笑)
リアルに編集者をやっているという人を含む英知たちも、
編集・道長さまの奮闘ぶりに多くのコメントを寄せました(笑)
新しい物語を簡単には書けないと言うまひろちゃんに「お前には才がある」と励ますのは良い。
必ず直接対面で原稿を引き取りに作家宅へ訪れるのは素晴らしい。
初見の感想を正直に直接言うところも良い。
しかし、作品をほめる時は具体的でなければならないそうです。
依頼を受けて最初に書きあがった、彰子中宮さまを慰めるただ面白いだけの物語を読んだ時の、
「よいではないか」はいただけないそうです。
ほらほら、「どこがよいのですか」ってなっちゃったじゃないですか。
その流れで本当は中宮様ではなくて帝に献上するつもりだったと白状する道長さま。
道長さまはまひろちゃんの物語を気に入っていたのですが、
まひろちゃんは帝のお心をとらえたいのであれば、
帝ご自身が感情移入しやすいように舞台設定や登場人物から作りこまなけらばならないからと没にします。
そして帝の人柄などを道長さまからたくさん聞き出します。
ついでに家の恥までしゃべっちゃったと道長さま。
実際のところ、その取材相手が道長だったかはさておき、
紫式部の立場や職位ではわかりようのない宮中事情や
超上級貴族の振る舞いが『源氏物語』にたくさん盛り込まれているので
紫式部は『源氏物語』を書く上でかなり取材したのではないかとXの英知。
この取材で道長さまとかつてないほど長く語らい、
帰り際には月を見て直秀の思い出も語らいます。
この大河では紫式部の「めぐりあひて見しやそれとわかぬ間に 雲隠れにし夜半の月かな」の宛先は道長さまと直秀で、
道長の「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」は
「誰かがいま、俺が見ている月を一緒に見ていると願いながら、俺は月を見上げてきた。
みなそういう思いで月を見上げているのやもしれぬな」と言う道長さまのセリフが
下敷きになるのではとXの英知が予想していました。
ずっと何気なく見ればいつもそこに月という場面が多かったこの大河で初めて、
一人で見上げれば満月も半月のようで、二人で見てこそ満月だと、
明らかに示す演出があったことも書き留めておきたいと思います。
それから、いとさんが心配するほど新作の構想に悩み続けるまひろちゃんに遂にインスピレーションが来ます。
色とりどりの紙が空から舞い降りてきて、筆を執り、手元の紙に「い…」と書き始めます。
源氏物語第一帖「桐壺」の冒頭「いずれの御時にか…」です。
大河ではやはり現在の形の冒頭から書き始めることにしたのですね。
物語は現在の第三帖「帚木」から書き始められた説もあり、
石山寺伝説では「須磨」、「明石」からと言われます。
そして完成した桐壺を最初に読む編集の道長さま。
「これは…かえって帝のご機嫌を損ねるのではなかろうか。」
大河のこれまでの流れでは、帝ご自身のせいで定子さまは崩御したのですよと言わんばかりの内容です。
心配して別の物語を求める道長さまをつっぱね、そのまま持っていかせるまひろちゃん。
この会話の後に2人のいる部屋に近づいてきた賢子ちゃんが、呼ばれて道長さまのお膝に!
それを何とも言えない表情で見守るお付き4人一同。
不安そうな乙丸さんといとさん。
満足そうな百舌彦さんときぬさん。
みんな秘密を知っていますね。
物語を道長さまに託した後もまひろちゃんは「物語は生きておりますゆえ」と推敲を続けます。
左大臣が手づから持ってきたからと、しぶしぶ少し読んだとたん、一回閉じてしまう一条帝。
これは朕と定子の話だと直感し、まさか神作品?落ち着け朕!!いったん深呼吸!!なんでしょうか?
はたして…?
第32回
始まってすぐ、何を見せられてるのか分からない(笑)乙丸さんときぬさんの喧嘩。
この2人が『かささぎ物語』のモデルの体の小さい男と大きい女だったかとXの英知。
献上した物語に音沙汰がなく、まひろちゃんの物語が収入につながらないことにがっくりのいとさん。
帝が亡き定子さまの兄・伊周さんを盛り立てようとして荒れる朝廷。
花山上皇に矢を射る事件から、いまだに復帰できていないのです。
伊周さんは道長さま主催の漢詩の会でも、
春帰りて駐まらず 禁え難きを惜しみ
花落つること 粉粉として 雲路深し
地に委ねて 正に景にしたがいて去るに応じ
風に任すは すなわち是れ あとにおいて たずぬればなり
春かえりて とどまらず耐えがたきを惜しみ
枝は花を落とし 峰は視界を遮るように聳え霞は色を失う
春の装いはもろくも崩れて、谷は静かに、鳥のさえずりも消える
年月は移ろい我が齢も次第に老けていく
残りの人生、天子の恩顧を思う気持ちばかりが募る
残り少なくなっていく人生(まだそこまでの年じゃない)を帝にささげたいのに…
みたいなしおらしい詩を披露して、道長さま以外のF4に呆れられていました。
矢を射た本人である弟の隆家さんのほうはサラッと権中納言に復帰していて、
その理由は伊周さんと違いゴネてないからとXの英知。
あの効果のない呪詛のせいじゃないですか!
さすがにやめてようやく復帰に道筋…?
実際はチラッと読んでいたのに道長さまとの仲が微妙だから塩対応の帝。
道長さまはウケなかった…とまひろちゃんに伝えに行きます。
まひろちゃんは、続きを書く個人的な楽しみを得られたから良いとあっさりです。
続きを書くまひろちゃんのそばでくつろぎながら、
今書きあがったばかりの源氏物語の続きを読む役得な編集・道長さま。
まひろちゃんの余りある才気に改めてしみじみと感じ入ります。
相変わらず帝のお渡りがない藤壺。
お渡りがないからと道長さまも一緒にくつろいで壺に矢を投げ入れて遊んでいたところ、
突然帝が渡ってきたので片付けでバタバタに。
帝は「読んだぞ…あれは朕への当てつけか?」とおキレ遊ばしたかと思いきや、
作者の学識の高さを感じて正体が気になり聞きに来たのでした。
道長さまの方を呼びつけてもよかったのに、読み終えた興奮のままに自分で来ちゃったのですね。
そして前にも1度会ったことがあるまひろちゃんが作者だと聞くと、
作者に会いたい、会えるならあれで物語は終わりではないだろうから続きを読んでからと、
微妙な仲の道長さまにツンデレ気味にリクエストしていきます。
帝に紫式部の学識が褒められたのは本当のことで、
『紫式部日記』に「この人は日本紀をこそ読みたるべけれ」と言われたと残されています。
日本紀(日本書紀)と言えばオール漢文のガチな歴史書で、普通(の女性)は好き好んで読まないので、
宮中に上がった紫式部はキモいガリ勉系歴史オタク扱いを受け『日本紀の御局』とあだ名されてしまうのです…
帝は褒めたのに、名誉なのか不名誉なのか、
恥ずかしくて紫式部は「一」の字も書けないふりをしたといいます。
帝をおびき寄せる(!)ために、まひろちゃんを彰子さまの女房として
藤壺に住まわせようとスカウトに飛んでくる道長さま。
ついにそういう口実でまひろちゃんを手元に呼び寄せます。
最初からそういう作戦だったの?と聞きたくなってしまいますね。
もはやあまりに慣れた感じにまひろちゃん家に入ってくるので、
来訪に気づいた為時パパもびっくり。
道長さまは倫子さまに、
まひろちゃんを藤壺に女房として迎える相談と言うか、報告というか、許可取りをします。
「なぜまひろさんをご存じなのですか?」
に、なんてごまかそうかと次回予告を見て心配していたXの英知たちでしたが、
道長さまは公任に聞いたと滑らかにかわします。
きっと何度も練習しましたね。練習相手は百舌彦だろうとXの英知。
手厳しいXの英知は「キィントウ」と声が裏返ってるよとツッコんでいました(笑)
まひろちゃんが彰子さまに挨拶に行くと、彰子さまはいつもの薄すぎるリアクションでした。
ずっと仕えている赤染衛門さんはそんな彰子さまの引っ込み思案なお人柄を
「謎ですの。奥ゆかしすぎて」とまひろちゃんに説明します。
そういえば赤染衛門には大河の創作の本名(「まひろ」とか「ききょう」みたいな)は付けられてないですね。
とうとう晴明さん危篤!
お付きの須麻流さんが唱えていたのは、阿弥陀如来のご真言だそうです。
「おん あみりた ていぜい からうん」
晴明さんはどちらかというと神道系?だと思うんですが、亡くなるときは仏教に走るんですねえ…
「お顔を拝見してから死のうと思いお待ちしておりました」の言葉通り、
最後の力を振り絞って晴明さんは道長さまを励まします。
まひろちゃんのことは「ようやく光を手に入れられましたな」、
「いずれあなたさまの家からは帝も皇后様も関白も出られましょう」
(↑源氏物語で光源氏が言われたみたいなセリフ「お子は3人、それぞれ帝と皇后と太政大臣になる」)、
「光が強ければ闇も濃くなります。そのことだけはお忘れなく」、
「何も恐れることはありませぬ。思いのままにおやりなさいませ」。
最後の最後まで道長さま推しでした。
前日の「土スタ」にゲストで出たユースケ・サンタマリアさんは、
明日の放送回で晴明が死ぬと巷で噂が立っているが、
この大河であの晴明が想像通りのことをすると思うか?と全否定していらっしゃったのに(笑)
ナレーションにはっきり死んだと言われて(こういうのを「ナレ死」と言うらしいです。軽すぎ!)、
しっかり死んじゃったじゃないですか…!
夜になって晴明さんが息を引き取るシーンには神秘的な星空が広がりました。
オリオンからうしかいまで広い範囲が映っていたそうで、その中心は鬼宿(かに座)だったそうです。
ここにあるM44プレセペ星団は、中国では「積尸気(ししき)」「積屍気(せきしき)」と呼ばれ、
魂が天に昇って行くところと考えられていたそうです。
渋い演出だと天文雑誌「星ナビ」編集部の英知がうなっていらっしゃいました。
そして伊周さんが帝の命で陣定(じんのさだめ)に復帰。
その夜、当時は不吉と考えられていた皆既月食になり、内裏も火事になり、
月食のせいで人少なだったこともあり、
大事な三種の神器の鏡(の大事な複製)が燃えて失われてしまいます
(完全に伊周さんを盛り立てようとすることへの天の怒り扱いになります)。
その火事の直前まで集中しきって源氏物語を読みふける帝。
これは話が面白くてハマっているだけではなく、
自分のことを書いている?とエゴサ的に興味を惹かれて、
心理的に読むのをやめられないからだと29日の大河コラボの「歴史探偵」で言ってました。
帝は定子さまの忘れ形見の敦康親王の身を案じて、親王を養育している彰子さまのもとに駆け付けます。
彰子さまはすでに敦康親王を避難させていたものの、帝の身を案じて逃げ遅れていました。
帝は彰子さまの手を引いて、2人きりで走って逃げます。
まるで少女漫画!と盛り上がるXの英知。
私はジブリだなと思いました(笑)。途中でヒロインが転ぶし…
身近な人はゴジラだと言いました(笑)
大河の創作だろうと誰もが思ったこのシーン、なんと史実らしいです!
『御堂関白記』にも「此の間、人、候ぜず」、『小右記』にも「此の間、路に参会の上下の人無し」、
お仕えしている人がいなかったと書かれているようです。
後日伊周さんは帝にあの火事は放火のようだ、自分以外を信じるなと言いに行きます。
完全に自分が放火魔って言ってるみたいだったとXの英知。
道長さまの前では隆家さんと道長さま強火推しの行成さんが掴み合いのけんかになりかけます。
この2人は道長の政権下において出世を競い合うライバル同士だったそうです。
武骨でも胆力のある隆家と、生真面目で能筆家の行成は個性も能力も真逆ですが、
道長はこの2人を上手く競い合わせたようです。
次の月についにまひろちゃんは正式に出仕します。
出発に際して、紫式部日記通り「男子であったなら」と何度もまひろちゃんに言ってきた為時パパが、
ついに「女子であってよかった」と涙声でまひろちゃんの出世を祝います。
みんな感涙(泣)
しかし藤壺で出迎えるのは、先に出仕した他の女房達がまひろちゃんを
歓迎してないようなムードのすさまじさです。
でも警戒されるのは当たり前です…
身分がずば抜けて高いわけでも、裕福であるわけでも、
すごい実績が現時点であるわけでもないのに、
謎に道長さまに見出されて、北の方さまとは旧友で、
古株の女房の赤染衛門さんとも親しいなんて、
みんなに言わせれば、まひろちゃんにこそ得体の知れない怖さがありますよね。
重要回だから長い長い!お疲れさまでした!!
2024年8月20日 サイト開設14周年
このページだけですが空前絶後の更新ペースであと4か月は突き進む所存です!
大河最終回とともに再び仮死状態?
そんな15年目をよろしくお願いいたします。
予告通りページを新しくしました!
今週の第31回ではなく、前々回と前回のまとめです…
第29回。
宣孝さんお亡くなりになりました…
「惚れ切っているゆえどこにも行かぬ」といった次の日に、
山城国に出かけたきり帰らぬ人になるなんて(泣)
「豪放で快活であった殿のお姿だけをお心にお残し頂きたい」という北の方の願いで、
まひろちゃんに死因は伝わりません。
突然死なんでしょうね。
まひろちゃん一家のこれからの貧乏を恐れて賢子ちゃんの乳母は逃亡しました。
でもいとさんさえいれば安心です。
正月に宣孝さんは1年の無病息災を祈る儀式で、
天皇が飲みきれなかった薬(この時は屠蘇)を飲み干す名誉な役を務めました。
宣孝さんは(そして中の人佐々木蔵之介さんもご実家が酒蔵で?)お酒が強そうだからかとXの英知。
屠蘇は三国志の名医華佗が発明したと言われるそうです。
華佗と言えば三国志演義で毒矢に射られた関羽の腕を治療したとも言われる人でしたね。
道長さまが元気だったとまひろちゃんにさりげなく教えてもくれました。
越前守をクビになった為時パパの査定で
書類に書かれたのは「過」という字で、咎ありの意だそうです。
咎なしなら「無過」と書かれるそうです…頑張ったのに。
ずっと出てきた公卿の一人平惟仲役の佐古井隆之さん、
女院詮子さま役の吉田羊さんも今回が最後の出演でした。
女院さまの薬は飲まぬ発言は、
円融帝が兼家パパにより毒を盛られた時に、
自分は「薬は生涯飲まぬ」と言ったのを貫いたからだとXの英知。
そんなこともありましたねえ…
枕草子完成。
まひろちゃんのすすめで書き始めたのだからと、
最初に読んでほしいという義理堅いききょうさん。
皇后さまの陰の面も知りたいというまひろちゃんに、
皇后さまに影などない!あっても書かない!輝かしさだけ書き残す!
と言う強火ファンっぷりです。
立体的な人物造形を心掛ける小説家と、
事実の切り取り方のセンスで勝負する随筆家としての
2人の感性の差が一層はっきりしてきました。
でもそのせいで枕草子、当時の人たちには
スキャンダル記事を期待して週刊文春の最新号を読むような面白さがあったでしょうが…
現代の中世史に興味がない向きには、
定子さま周りの思い出話が読み飛ばすレベルでつまらないんですよね…
そしてききょうさんの道長さまへの逆恨みがすごいです。
まあ、推しの不幸な死を誰かのせいにできるならしたいでしょうね。
ということは紫式部日記に清少納言の悪口を書き残すのは、
ききょうさんと枕草子を守るための深い配慮ゆえの…ということではなく
(そういう展開を期待していたXの英知が多くいたようです)、
これから道長さまを敵視するききょうさんを
まひろちゃんがストレートに憎むからになるんでしょうね。
まひろちゃんの英才教育虚しく漢文に興味はサッパリの賢子ちゃんです。
竹取物語はおとなしく聞く賢子ちゃんの様子を見たのがきっかけで、
ついにまひろちゃんはなんらかの物語を書き始めます。
第30回
道長さま含む若手藤原四人衆の通称F4
(『花より男子』に出てくるイケメンお坊ちゃま4人衆になぞらえた呼び方)が
今回から突然みんなヒゲ面に。
これは内裏で急にヒゲが流行ったのではなく、
大河ドラマの中盤に入りました、というお約束なんだそうです。
晴明さんは80歳くらいだそうです。
道長さまから雨乞いの祈祷をする見返りに寿命10年を取るといいましたが、
どうやら取らなかったようですね。
雨乞いの祈祷を終えた時に晴明さんだけ一気に年を取って髪が白髪になりました。
あれでいて道長さま推しなんでしょうね。
まひろちゃんは藤原公任さんの屋敷で、
北の方敏子さん主催の女子会で講師を務めるようになっていました。
和泉式部(あかねさん)も初登場!キャラが濃いです。
公任さんの北の方の名前は記録が残っていなくて、大河の創作らしいです。
この北の方が生んだ嫡男の定頼がのちに、紫式部の娘・大弐三位と恋人になり、
一方で和泉式部の娘・小式部内侍を中傷して
百人一首の有名な「大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天橋立」を食らい
その場でやり込められるのです。
和歌は人の心を種として、それがさまざまな言の葉になったもので、というのは、
紀貫之が書いた『古今和歌集』の仮名序(かなじょ)
「和歌(やまとうた)は人の心を種としてよろづの言の葉とぞなれりける。」からの引用なので、
同じく紀貫之の
人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける
を話題にしたのですね。
この和歌が唐の詩人・劉希夷(りゅうきい)の詩
「代悲白頭翁」の一節
年年歳歳花相似
歳歳年年人不同
年年歳歳 花は相似たり
歳歳年年 人は同じからず
を元にしているかも?と言うのです。
あかねさん(和泉式部)の歌は
声聞けば暑さぞまさる蝉の羽の薄き衣は身にきたれども
セミの声を聴くとさらに暑くなってしまう、蝉の羽根のように薄い衣を着ていても。
でした。
女子会では七夕伝説と『とりかへばや物語』が元ネタっぽい、
まひろちゃん作の「カササギ語り」が人気になっていました。
七夕伝説でカササギは天の川に群れで並んで織姫と彦星の架け橋になってくれる鳥です。
まひろちゃんと道長さまの架け橋になる物語というのですね!
実際の星の明るさは織姫星(ベガ)のほうが彦星(アルタイル)より明るいので、
「大柄な女」「小柄な男」というのは、星の見た目からの連想なのではとXの英知。
…さて突然ですがみなさま、カササギの学名をご存じでしょうか!
「Pica Pica Japonica」って言うそうなんです!!
えっ!?何!とてもかわいい!声に出して読みたい学名
「ピカピカジャポニカ」といきたいところですが、
残念ながら「パイカパイカヤポニカ」と読むそうです…
話しを戻してその「カササギ語り」の出来栄えはさておき(えっ)、
源氏物語の前に現存していない物語を紫式部が書いていたというのはありそうですよね。
まだ源氏物語を書き始めていないまひろちゃん。
源氏物語成立の経緯でよく言われるのは、
少しずつ飛び飛びのエピソードで書いて女子会的な場で(?)細々披露した源氏物語が、
口コミで大ヒットして彰子中宮の後宮にスカウトされて、
続編や前日譚を書きまくり現在の形になったというものですが、
大河では彰子中宮を盛り立てる目的で最初から練って冒頭から書いていったとなるのでしょうか。
伊周さんの呪詛センスのなさっぷりは、
兼家パパを呪詛で仕留めた源明子さまとは月とすっぽんの差です。
何年もやってる割に効果がありません。
道長さまはいろいろとお悩み中で晴明さんに相談に行ったりしてますが、
呪詛のせいではなさそうです。
今も愛用中かの確認が宿題だった、
三郎と出会った河原で拾ったという石の文鎮の確認完了しました!
まひろちゃんが物語を書き溜めた紙の山の重石になっていました。
やっぱりすぐに道長さまに教えてあげなければ(笑)
勉強嫌いで文字も覚えない賢子ちゃん。
誰の子ですか!(笑)
道長さまの子は、為時先生が優秀だと感心するくらい勉学に励んでいるというのに。
3年前異母兄弟に舞で負けて泣いていたあの子です。
まひろちゃんは賢子ちゃんに自分と同じ優秀さで学問をさせたいのではなくて、
大河の初めの方のエピソードで一般の民の身に起きた文字が読めない不幸を避けたくてのことで、
ここで再び登場するひいおじいちゃんの歌
「人の親の心は闇にあらねども子を思う道にまどいぬるかな」です
(大河で2回目か3回目の登場になり、前に書いたので現代語訳は省略です)。
ナイスビューな庭園のピクニックで焼き鳥を楽しむ鳥貴族たち(Xの英知の命名センス)。
あの場所はずいぶん前の放送回のおまけコーナー「光る君へ紀行」で取り上げられた
嵐山の大覚寺の大沢池のようです。
公任さんの名作
滝の音は絶えて久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞こえけれ
滝の流れる水音が聞こえなくなって随分経つけれど、
その名声だけは流れ伝わり続けて今でも人々の口から聞こえていることだよ。
が詠まれた場所です。
斉信さんが今更ききょうさんの文才を惜しんで、
「手放さなきゃよかった」なんて言いましたが、
実際はききょうさんに捨てられたんだよと言うXの英知に賛成です(笑)
枕草子に勝てるかもしれない面白い物語を書く女として、
公任さんの口からまひろちゃんの名前が出ました。
賢子ちゃん放火騒動。
紙を手に持って燭(形からして灯台だと思ったんですけど、
31回でまひろちゃんが燭を倒して…と言うので燭と言うことに)の
火をつけたので、普通に楽しい火遊び(!)かと思ったのですが、
そうではなかったです(笑)
あれくらいの年の子だったら火を紙に移してから燃やしたいものに置く、
なんていう気の利いたことは思いつかなくて、
燭そのものを持っていって燃やしたいものの上に付けそうな気がしますよ?
そうしたらボヤ程度じゃ済まずにお家が全焼しちゃうけれど…
賢子ちゃんを構わないまひろちゃんが悪いという声もXには多いようですが、
あれは家計を支えるシングルマザーのリアルなんでしょうね。
綺麗ごとじゃ済まないんです。
分かっていても仕事を優先するしかないんですよ。
その証拠に、まひろちゃんの物語執筆は為時パパからもいとさんからも応援されていました。
道長さまは晴明さんに言われた、
「あなた様のお心の中に浮かんでいる人に会いにお行きなさいませ」
に鳥貴族で聞いた話を経て、身なりをやつしてまひろちゃん宅にこっそり訪問して…
というところでまた次の週はお休みでした。