おすすめの本 絵本源氏物語


 お待たせしました!!
 今回ご紹介する本は、イベントリポートで予告したあと、まったく音沙汰なしだった(!)

篠原 昭二・鈴木 日出男・日向 一雅 著 「絵本源氏物語」 (貴重本刊行会)

 です。

 こちらの本は、完全に初心者向けに書かれた本です。
 本の冒頭にもはっきりと宣言(?)されています。

 ですが、初心者向けといって侮るなかれ!
 解説は専門の先生方が執筆されています。
 読みやすいですし、分かりやすいです。

 本の装丁は、手に取るのに勇気がいるほど(!)格調高く
 (デザイン的に、です。作りはソフトカバーなので)、
 カバー絵は、和泉市久保惣記念美術館蔵の
 「源氏物語手鑑(てかがみ)」(土佐光吉 筆)より、
 「玉鬘」です。
 (管理人調べ。カバーには所蔵美術館名しか書かれていませんでした!
 タイトルと絵師の名前も、合わせて書いておいてほしかったです…
 源氏物語ファンなら知っていて当然の知識、ということですか…?)

 また、見返しは紫の紙でつけられています。おおーっ!!
 源氏物語の別名は「紫のゆかりの物語」ですもんね!

 さらに絵本の「絵」は、
 慶安三年跋承応三年版、六十巻六十冊本「源氏物語」のものなのです。
 全挿絵226図が収録されています。
 すごいですよね!

 あらゆる面で豪華です。
 面白味のあるシーンに関しても触れられているので、
 初めての方もこの本をきっかけにして、きちんと読んでみたくなる…かもしれません。
 すでに源氏物語を知っている人には、よい復習になるでしょう。
 当コーナーでご紹介するのに、まさにピッタリな本です。


 管理人は読んでみて、とても勉強になりました。
 これからも手元に置いて、参考書にしたいと思っています!

 ただ…管理人がひとつ気になったのは
 挿絵が本当に、当時の風俗を正確に描き表したものか分からないという点です。
 源氏物語成立当時に、最も近い時代に描かれたとされる
 国宝源氏物語絵巻とは、少し異なっていました。

 例えば裳の着け方です。
 挿絵では裳を髪の上から巻いていますが、
 絵巻ではそのようになっていません。
 また、出家した女人の眉も描かれていないものがありましたが、
 本当にそうだったのでしょうか…?
 やはり、より古い絵の方が正確なのでは…?
 と思います。

 この絵本の絵は慶安3年ということで、江戸時代に描かれたものです。
 ですから、当時もある程度は資料を当たって描いたのでしょうが、
 絵師の想像が多く入っていそうに思ってしまいます。
 そのため、絵を描くなどのために資料を求める方には、
 これ1冊で、とおすすめできません。
 他の資料も併せて検討した方がよさそうです。





2011年4月4日公開



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