ビーズドール 朝顔の姫君


画像をクリックすると拡大します。

正面から

髪上げ、うるはしき姿、
唐絵を をかしげにかきたるやうなり。


横から

すがたつき、もてなし、
いささか はづれて見ゆる かたはらめ、
はなやかに きよげなり。


後ろから

夢のやうに もこよひのだつほど、よそほひ、
むかし天降りけむ をとめごの姿も、
かくやありけむと までおぼゆ。


(写真下の文は紫式部日記から一部をイイカゲンにコピペしました。
現代語訳はカンベンを…なんかほめてるんだろなあという雰囲気だけ感じてください)



今年の賀茂祭(葵祭)まであと1ヶ月ですね。
というわけで、今回は朝顔の姫君です。
朝顔の姫君は賀茂神社の斎院を務めていましたよね。
平安当時、斎院は賀茂祭の主宰でした。
現在の賀茂祭に斎院は登場しませんが(斎院制度がすでにありません)、
毎年、祭のヒロインとして斎王代が選ばれていまね。
伊勢神宮の斎宮と賀茂神社の斎院をまとめて斎王といったそうですから、
斎王代は斎王(この場合は斎院)の代わりということになりますね。

ところで今回の朝顔の姫君、
着ているものが普通の唐衣裳装束(からぎぬもしょうぞく・いわゆる十二単)姿とは違うことに、
一目でお気づきの人もいらっしゃったかもしれませんね。
ティアラみたいなの付いてますし。
これは平安時代の厳粛な儀式で着られた特別な服装で、
「物具装束(もののぐしょうぞく)」と呼ばれるものです。
古い時代の装束に詳しい方にはおなじみかもしれませんが、
当サイトでは取り上げるのは(たぶん)初めてです。
物具装束は簡単に説明すると、唐衣と裳を着けた唐衣裳装束に
領巾(ひれ・比礼とも書きます)と呼ばれる天女の羽衣のようなものと、
裙帯(くたい・くんたい)と呼ばれる飾りの帯を加えたものです。
普段は垂髪だったこの時代には珍しいことに、
髪を結って宝冠(ほうかん)と呼ばれる髪飾りをするのも特徴です。
唐の影響が強く現れている印象がありますね。
ちょっと比較写真(?)をどうぞ!

奈良時代の装束と物具装束 唐の影響を受けている奈良時代の装束(左)と、物具装束

まあ、朝顔の姫君がこういう服装をする機会はないかもしれませんが(えっ)、
賀茂神社に斎院(巫女)として奉仕するという、朝顔の姫君の立場と、
厳粛な儀式で着られる装束のイメージが合うように思いました。
それに…源氏は朝顔の姫君に繰り返し言い寄るも、あまり相手にされずに終わってしまうのです。
たやすく拝めないのも、また一緒ですね(笑)

◇ ◇ ◇

今回は何といっても儀式用の装束ですから、
いつものように色や柄を勝手に決めるのも気が引けまして…
紫式部日記の記述を参考にすることにしました。
登場する物具装束姿の2人はどちらも青色(緑)の唐衣に、
裾濃(裾に向かって濃い紫のグラデーションになっている)の裳を着けています。
領巾と裙帯、中に着る着物は各々違うようですが、1人ごとの領巾と裙帯は同じものを使うようです。
この2人のうち1人のコーディネートを紫式部はセンスがいいとほめています。
せっかくなので、そのほめられている方の組み合わせ(※)でと思ったのですが、
まとまらなくて断念しました(いろいろな赤と紫の色味や組み合わせを試したんですけどね…)。

さて、「物具装束」で画像検索すると、再現した物の写真があちこちのサイトで見られると思います。
あれは領巾と裙帯の色(オレンジと白のだんだら)からして、
紫式部好みではない方を基にしているのかもしれません。
実を言うと、私もこちらの方が良いと思います(紫式部さんゴメンなさい)。
なのでこちらを元に練り直すも、菊の五重って…
「菊」とひと口に言っても、菊の名前がつく重ね方はいろいろありまして、
どういう方向で組めばいいのやら…私にはわかりません(泣)

結局、ここでの決まり事らしい唐衣と裳の色だけをおさえて、
あとはいつものように勝手に決めることにしました(…)
唐衣も本当は無紋なんですが、あの2人は女房でしたし、
朝顔は女王なのでちょっと豪華にしても良いかな…と柄入りにしちゃいました。
表着や袿は、あの場面で菊を着ていたのは季節が秋だったからですよね。
秋じゃないことにしちゃえばいいですよ!
というわけで、賀茂の斉院は葵祭の主宰だったらしいということから、
初夏の清々しさが感じられるような色(といっても夏の重ねというわけではありません…)にすることにしました。
朝顔のさわやかな人柄も表現できそうです。


(※)えーっ、どんなのだったの〜と気になる方へ。
紫式部好みのコーディネートは、色の配置が(着ているものも)ちょっと違いますが、
五節の舞の装束のような色合いだと思われます。
画像検索で見てみてくださいね(←えっ)
あらら、この方向でしたか…(←着物作っちゃってから偶然五節の舞の写真を見てしまった人)
あのメーカーのあの番号を使えば作れましたね…
でも…!源氏物語で五節の舞といったら、惟光の娘(藤典侍)ですよね?
この色で朝顔を作ったら、やっぱりイメージが違ってしまったかも?


材料と図案はこちらで紹介します…といつもなら書くところなんですが、ごめんなさい。
まだページが出来上がっていないんですよ(汗)
しかも、完成の見込みもたちません…(少なくとも葵祭までには間に合わない)

なので物具装束についてのおまけページを代わりにお送りいたします。

◇ ◇ ◇

作り方ページはまだできていませんが(すみません…)
図案部分のページだけは完成したので公開します
(2015年3月15日追記)

作りかけですが出しちゃいます!
一部工事中ですが…部分開業ということで(汗)
材料と図案はこちらからどうぞ!!
(2015年3月16日追記)



2014年4月15日公開
2015年3月16日更新



ビーズドール目次に戻る トップページに戻る