イベントリポート 静嘉堂文庫美術館「金銀の系譜 ―宗達・光琳・抱一をめぐる美の世界―」
東京の静嘉堂文庫美術館で開催中(〜2015年12月23日)の
「金銀の系譜―宗達・光琳・抱一をめぐる美の世界―」に行ってきました。
俵屋宗達の描いた国宝の「源氏物語関屋・澪標図屏風」が10年ぶりの公開にして、
修復後初お披露目ということで思い切って行ってきましたよ〜!
静嘉堂には10数年前?に1度、曜変天目を見に行ったことがあるのですが、
最寄りの二子玉川駅から結構遠いので、なかなかそれ以来機会がありませんで…(汗)
(↑ただの根性なしともいう)
今回はバスで行きました(前回はタクシー)
住宅地を走るための小ぶりなバスなので、
中は静嘉堂に向かうお客さんばかり、ギュウギュウに乗れるだけ乗っての移動となりました(汗)
美術館行きではない地元の方が乗れないほどで…(汗)メイワクしているかもしれませんね。
いつもあんな感じなんでしょうか?
今回の見どころのひとつは国宝の「曜変天目」と重文の「油滴天目」が展示室ではなく、
自然光の差し込むロビーに展示されていることだそうです。
展示室の入り口手前のスペースにありましたよ。
お久しぶりです!
よく晴れて日差しが強かったためか、
曜変天目独特の深い青の中に虹が輝くような色がちょーっと見づらかったです(汗)
あの色って構造色なんですってね。CDに浮かぶ虹色と同じということです。
そして早速ですが、今回メインの「源氏物語関屋・澪標図屏風」の話を…
最近まで更新履歴ページでしつこく書いていた月の君の話にカブってくるのですが(笑)、
同じ場所に行き合ったのに源氏に気づいてもらえなかった明石の君と、
気付いてもらえた空蝉という取り合わせです。
入り口でいただいたリーフレットの解説によると…
「各隻ともにあえて主要人物の姿を描かないことで、
近づきながらも会えない二人のままならぬ心の内をあらわしている。」
そうですよね〜切ないんですよね…
また、
「海と山、州浜の柔らかな曲線や住吉大社の松林・橋脚の垂直線に対して、
関屋の山や岩の下辺を示す水平線、
後に皇太后宮の母となる明石の君と出家する空蝉など、
各隻は意図的な対比によって構成されている。」
源氏と偶然出会った時の顛末、その後の人生が対照的な二人を、
背景の描き方を変えることでさらに強調しているのですね。
この二人を選ぶとどちらかだけが常に不幸ということはなく、
禍福は糾える縄の如しといいますか…
注文主がお寺の方ということなので、そういう考えもあったのかな?と思いました。
後は気に入ったもの、印象に残ったものを(笑)
酒井抱一の「麦穂菜花図」のヒバリちゃん!
麦穂の方で、くちばしの下側というかなりの萌えポイントが見える角度に
わざわざ描かれているのがいいですねえ…
あと、菜花の下の方に描かれているナズナの葉に差している赤みがいいですねえ…
主役?ついすっ飛ばしましたが…(汗)主役は普通にステキです。
抱一の「波図屏風」は、「注文された草花の絵ではないけれど、
いい感じに波の絵が描けたから見て!(気に入らなかったら描き直します)」
という手紙付きでした。
あれは結局「波図屏風」が納品されたということでいいんですよね?
色々な題材と描き方で描いた絵をひとつに纏めた「絵手鑑」も面白かったです。
「麦穂菜花図」を見てもしや…とは思っていたのですが、
これを見て確信しました!抱一はトリさんが好きですね。
展示中だったミミズクも、
スライドショーで紹介されていた他のトリさんもかわいかったです〜♪
雄鹿の絵もありましたが…顔が豆助(!)みたいでかわいかったです(笑)
蔦の葉の赤もとてもきれいでした。
鈴木基一の「雨中桜花紅楓図」もきれいでした。
桜の花の描き方が…なんというか好きです。
2つ展示されていた印籠もとてもすてきでした。
「秋草虫蒔絵象嵌印籠」は萩や薄を背景に、
蝶などの虫を色の違う金属で作ったものでとてもきれいでした。
「雪華蒔絵印籠」は、顕微鏡で観察した雪の結晶の記録書から図案を起こしているそうです。
とても素晴らしいです。
雪の結晶ファンの私が書いているのですから間違いありません!
(↑書いたことがなかったかもしれませんが…雪の結晶の顕微鏡写真集を持ってます(笑)
ケネス・リブレクト著「スノーフレーク」(山と渓谷社)です)
雪の結晶は棒状などの変わり種もありますが、六角形が基本で、
五角形や八角形にはならないのです。
でも、たまにイラストでそういうのありますでしょう?
あれではヒトデか、クラゲの赤ちゃん(エフィラ)ですよ!
ノルディックセーターの伝統柄で星を表しているアレはいいんです。
ここで書いても始まりませんが、ファンとしては気になって気になって…(泣)
…話がそれすぎたので戻しますが(汗)
「雪華蒔絵印籠」の雪華紋はちゃんと全部六角形なんですよ。
しかもデザインのバリエーションも豊かです。
ぱっと見、同じデザインの雪華紋が見当たらないくらいなんですよ!
今現在、スノーフレーク模様を考えるときに、ここまで手間をかけられるでしょうか?
これは本当にすごいです。
尾形光琳の「住之江蒔絵硯箱」は、今回の展示に向けて錆が出た部分を修復したそうです。
修復に使った薬液は、光琳のゆかりの人々に代々伝えられてきた
資料に書かれていたものだそうです。
メンテナンス法まで伝わっていたということに驚きました。
…おおざっぱ過ぎる上に内容にかなりの偏りがありますが(汗)
以上、イベントリポートでした!
(帰りは歩いて駅まで行きました。意外と歩けました)
2015年12月16日更新