イベントリポート 五島美術館「館蔵 秋の優品展――宗教と美術――」
東京・上野毛の五島美術館で開催中(〜2015年10月18日)の
「館蔵 秋の優品展――宗教と美術――」に行ってきました。
紫式部日記絵巻が展示される(10日〜18日)と聞いたので、
なんと絵巻公開の初日に(!)行ってきちゃいました!
3度目の正直(?)の庭園見学も目的でした(笑)
仏教に関係する書や絵画が中心の展覧会なので、
展示室内は「紫式部日記絵巻の展示って本当に今日からでいいんだっけ?」という雰囲気でした(笑)
ちゃんと一番奥に、紫式部日記の3つの場面の絵と詞書が並んでいましたよ!
1つ目は中宮彰子に昇進のお礼を啓上しようと藤原実成と藤原斉信の2人が、
女房の紫式部たちを訪ねる場面、
2つ目は敦成親王の五十日の祝での女房たちの働きを書いた場面、
3つ目は同じ日の宴会の場面です(説明が雑でスミマセン)。
3つ目の場面にはあのエピソードが含まれます!
藤原公任が「若紫いる〜?」と紫式部に声をかけるあの話。
その直前には、藤原実資が女房の褄や袖口の重ねを数えるようにじっくりと眺めたのち
(この書きぶりだと、紫式部はこっそり実資の様子を観察しちゃってた?)、
宴会の席だからと浮かれ気味に(としか言えない!?)紫式部が彼に話しかける場面もあります。
その感想は、思い切って話しかけたらとっても感じがよかったのー!というもの。
あの、紫式部が浮かれるというのも衝撃(?)ですが、
これではファン(紫式部)が、偶然見かけた有名人(実資)に
思い切って声をかけてみた♪ですね(笑)
そんな紫式部憧れの実資は、一流の学識人にして、
当時最高権力者であった藤原道長の顔色を窺わずに、
正しいことをきちんと行うことを選ぶ良識人だったらしいです(かっこいいですねえ)。
そうはいっても実資は、親子ほどの年の差婚だったらしい夫の藤原宣孝と同じくらいの年で、
それだけならまだしも、位も夫より結構上なので、
紫式部は完全に一ファンとして見ていたんじゃないかなあと思います。
今、急に思ったのですが源氏物語の登場人物で、
親子ほどの年の差婚をして幸せになった人って誰もいなかったような気が…
えっ、それじゃあ紫式部の結婚生活って、一体…?
メインの仏教美術の方の話も印象に残ったものについてしておきましょう!
いつものようにロクなことは書けませんが、お付き合いください(えっ)。
展示品には書と絵、仏像がありました。
まず書から…
紫や紺色の紙に金や銀でお経を書いたものがたくさん展示されていました。
いつものことながら、こういうものの銀の部分は
ほとんど変色してしまって読みにくくなっています。
ところが!銀色の字が今も鮮やかに読めるものが1枚ありました!
うっかりしていて名前は忘れてしまいましたが…
下のほうが燃えてしまっていると書けば、お分かりの方はお分かりになられるはずです(汗)
(もしかしたら「紺紙銀字華厳経 巻第五十(二月堂焼経)」かも)
古いうえに燃えちゃってるのに、銀色が鮮やかとはどういうことなんでしょう?
ちょっと調べたら、奈良の東大寺にも同じようなもの(というか、同じ物の別の一部?)があって、
そちらも銀色がきれいに残っているそうです。
しかも、科学的に分析したらきっちり「銀(Ag)」だったそうで…
これを書いた時の銀泥をいつも作れれば、黒い月を防げたのに…と思いました。
技術が伝わらなかったのか、この時たまたまとてもうまくいったのか…う〜ん…
それ以外で印象に残ったのは、一行ごとに上下に飾りの模様?が書かれているものでした。
緑色で描かれているのですが、その模様の部分だけが破れて穴が開いてしまっているんです…
ほかの部分はとてもきれいなのに!
長くとっておくものにこの緑の顔料?は失敗だなと思いました(笑)←なんてことを…
今回、いろいろな人の書いた字を見てきましたが、
小野道風が書いた(と伝わっている)字が個人的には一番好きでした。
あんな字が書けたら言うこと無しですよね!
絵の話に移ります。
「山水屏風」は正面から見て折り目の谷になるところに遠くの山、
折り目の山になるところに手前にいる人々がくるように描かれているので、
より立体的に遠近感が強調されて見えます。
屏風絵って、そうやって描かれるものなんですね…
少し離れてみるとよりはっきりわかります
(特に屏風の前にある休憩用のいすの辺りから見るとわかりやすかったです)。
そしてかわいいトリさんを見つけました!
「叭々鳥図」
絵葉書にもなっていて、今回はこれ1枚だけを買ってきました。
すかいらーくのマークみたいな微妙な表情がかわいいです(笑)
展示室の手前には「愛染明王坐像」がありました。
こわーい顔をした像なのですが…こうしてじっくり見るとあまり怖くないですね。
この感じは…根がいい人がどんなに怖い顔を作って見せても
大して怖くないというようなものです(笑)
本当に恐ろしい顔って何でしょう…
憎しみや恨みや妬みがありありと浮かぶ顔…??
展示室はもう1つあって、そちらでは陶芸作品が展示されていました。
今回の主役は「破袋」でしょうね。
本当に水を入れることができるのかというくらいの、聞きしに勝る破れっぷりです(笑)
庭園の見学も今回はしっかりとしてくることができました。
2度あることは3度…になりませんでしたよ!
ちなみに1度目は国宝源氏物語絵巻展の時で、まさかの時間切れで1歩も入れず!
2度目は休館中の2011年12月に3日間限定で行われた「秋の庭園公開」の時です。
「秋の庭園公開」の話を書くのは初めてですが、実は行っていたんですよ!
…とはいえこの時は改修工事の関係で、庭園の全体を見ることはかなわず、
しかも全然源氏ネタとは関係がないこともあって書くのを控えていました。
(当時は真面目に運営していたんですねえ…今だったらきっと書いてました。
「行ったよ〜」って(笑))
庭園には茶室(一般には非公開。でも外観だけなら見られる)があり、
狛犬ならぬ狛羊が4頭もいて!しっかりモフってきました(笑)
(手触りはしっかり「石」)
建物から離れると、ちょっとした崖というか山道で、木がうっそうと茂っています。
さすがは庭園案内図のパンフレットに
「基本的に『崖』ですので、『健脚コース』であることにご留意ください」
と書かれているだけあります(笑)
本当に自然のまんまです。人の手が入っていない裏山という感じです。
3度目にしてようやく庭園の全体を見て回りきることができました!
なんというか「完全制覇」という気分です(笑)
2015年10月11日更新